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消費税10%と合わせて、2019年10月からプレミアム商品券が発行されます。
住民税非課税世帯や3歳半以下の子どもがいる子育て世帯に発行されるとしていますが、その内容をさらに詳しく解説したいと思います。

消費税増税のタイミングでプレミアム商品が発行される!

2019年10月に消費税が10%へ引き上げられますが、このときにプレミアム商品券が発行されます。

消費税が増税になることで家計への負担が大きくなるわけですが、その負担を少しでも解消することを目的として政府が打ち出した制度です。

実は、プレミアム商品券は今回が初めてではなく、消費税が8%へ引き上げられたときにも同様の施策が行われています。

プレミアム商品券とは

プレミアム商品券とは、購入金額以上に一定の加算額(プレミアム)がついた商品券のことです。

つまり、その商品券を購入すると、購入金額以上の買い物ができるというものです。

2019年10月に発行されるのは、1枚が500円分の商品券になっていて、この商品券を400円で購入できるというものです。(100円分(25%)のプレミアムが付いていることになります。)

10枚セットでの販売となるので、4,000円で5,000円分の商品券を購入できることになります。

購入条件と枚数

プレミアム商品券を購入できるのは、以下の世帯です。

プレミアム商品券の対象者

  • 住民税の非課税世帯
  • 3歳半まで(2016年4月2日〜2019年9月30日生まれ)の子どもがいる世帯

住民税非課税世帯は、2018年の所得で判定することになりますので、住民税の通知が届く2019年6月には対象が判明することになります。もちろん、住民税非課税世帯には年金受給者も含まれます。

購入の限度

購入できるのは、1人あたり2万円(2万5千円分の商品券)までとなります。1冊が4千円で5千円分の商品券が入っていますので、これを5冊まで購入できることになります。

1人あたりとなりますので、非課税世帯にいるいる人は世帯人数分、子育て世帯については3歳未満の子どもの人数分を購入できます。

住民税非課税世帯で3歳半までの子どもがいる場合は、5万円までの商品券の購入が可能となります。

商品券は原則として発行した自治体にある小売店でのみ利用できるもので、商品券の利用時にお釣りはでません。

ただし、自治体内に商品券を利用できる場所が少ないときは、周辺の市町村でも利用できるようになります。(詳しくは自治体ごとに決定してアナウンスがあります。)

利用期間

利用できるのは2020年3月までとなります。

プレミアム商品券の問題点

前回のプレミアム商品券(消費税が5%から8%なったとき)の発行時にはいくつか問題が起きていますので、少し説明したいと思います。

まず、前回のプレミアム商品券の概要ですが、以下のようになります。

前回のプレミアム商品券の概要

  • 1冊1万円で1万2千円分の商品券(20%上乗せする形態が多かったが市町村によって異なる)
  • 購入限度冊数も市町村によって異なる(大阪市4冊、横浜市10冊など)
  • 利用期間は半年程度(市町村によって異なる)
  • 基本的に誰でも購入できる
  • 使えるのは発行した市町村内の指定店

前回のプレミアム商品券は自治体ごとに異なる部分が多く、自治体が自由に決めていました。

商品券のプレミアム率は多くの自治体が20%でしたが、10%から30%ほどの幅がありました。

また、購入できる冊数もかなり異なっていて、例えば、大阪市は4冊まで、横浜市は10冊までとかなりの差がありました。

さらには購入者の家族や収入による制限もなく、基本的に買いたい人は買うことができました。販売方法も自治体が自由に決めていました。

発行する自治体も事務作業が大変で、本人確認を適正に行うことができない状況が発生し、架空名義で多くの商品券を購入する人がでたり、オークションで転売する人なども出てしまいました。

代理で購入することができる市町村もあり、1人で数百万円分の商品券を購入して高額な商品を購入する人も現れました。

その他にも商品券の発行を委託された業者が、商品券を自治体の職員や議員に優先的に配布していたことが発覚したケースもあり、社会問題のようにニュースで取り上げられました。

多くの税金が使われる政策ですので、今回は不正などが起きないよう、しっかりとした制度設計と事務を行ってもらいたいと思います。

【参考】「よこはまプレミアム商品券」の実施結果について(横浜市)

前回と今回のプレミアム商品券の違い

前回との違いを簡単にまとめると以下のようになります。前述のとおり前回のプレミアム商品券は自治体ごとに内容が異なりますので、その点を踏まえてご覧ください。

前回 今回(想定)
対象者 限定なし 住民税非課税世帯と3歳半までの子どもがいる世帯
プレミアム率 10%〜30%程度 25%
販売単位(1冊) 1万円で1万2千円分 4千円で5千円分
購入上限 5冊〜10冊程度(自治体で異なる) 5冊
使えるお店 発行市町村内の小売店 発行市町村内の小売店

前回のプレミアム商品券の経済効果など

内閣府が行った前回のプレミアム商品券の効果の検証では、以下のような結果が報告されています。

前回のプレミアム商品券の検証結果

  • 商品券の発行総額 9671億円
  • 商品券による消費押し上げ 3391億円
  • 国の予算執行額 2372億円
  • 実質的な消費喚起効果 1019億円(3391億円-2372億円)

商品券の発行総額は9671億円で、その商品券を使って買ったもののうち、商品券がなかったら買わなかったものを購入したというのが3391億円です。

国は2372億円の予算を使っていますので、その結果3391億円の消費が増加したことになり、差額の1019億円が実質的な増加分ということになりました。

この結果をどう見るかはエコノミストや新聞各社で見解は異なると思いますが、数字の上では、予算額以上の消費喚起があったというのはプラスだったのだと思います。

【参考】地域消費喚起・生活支援型交付金事業における効果検証に関する報告書(概要版)内閣府

これまでの類似の政策(地域振興券・定額給付金)

消費税の増税に伴って発行されてきたプレミアム商品券ですが、過去には経済対策などとして商品券が発行されてきました。

プレミアム商品券以外の過去の商品券など

  • 地域振興券(1999年)
  • 定額給付金(2009年)

いずれにしても、景気や経済対策として行ってきた政策です。

地域振興券

1999年に実施されたもので、当時はバブル崩壊後に経済の低迷が続いている時期であり、その中で1997年に消費税が3%から5%に引き上げられました。

所得税や住民税の大規模な減税も行っていましたが、さらなる景気改善の政策として地域振興券が発行されました。

対象となったのは以下の人で、1人あたり2万円分が配布されました。

地域振興券の対象者

  • 15歳以下の子どもがいる世帯
  • 障害年金、遺族年金、児童扶養手当、特別障害者手当などの受給者
  • 生活保護を受けている者、社会福祉施設の入所者
  • 65歳以上で住民税が非課税の者

実際にはもう少し細かい条件があり、全体として低所得者などに絞り込んだ内容でした。

減税などでは浮いたお金分が貯蓄にまわってしまい、物を購入するといった直接的な経済効果を産みにくい部分あり、地域振興券という形にしました。

しかし、結果的には地域振興券の分を余分に買い物をするということではなく、日用品などを購入して、その分の現金が貯蓄にまわったと言われています。

地域振興券は総額で6200億円ほどが発行されましたが、経済産業省によると地域振興券の消費増加は発行額の32%程度で、経済効果としては名目GDPを2000億円(0.04%)程度押し上げたことになります。

6200億円使って2000億円しか消費が伸びないというのは、政策としてはあまり良くなかったと言えるような気がします。

定額給付金

定額給付金は2009年に、国の緊急経済対策として実施されたものです。

対象者は以下の人で、1人あたり1万2千円が給付されました。

定額給付金の対象者

  • 住民登録がある人
  • 外国人登録がある人

基本的に日本国内に居住する人が対象となり、1人につき1万2千円が給付されました。

全国民が対象となる給付金ですので、予算額も大きく2兆円ほどを使っています。

内閣府の分析によると、定額給付金による消費増加効果は給付金の25%、子どもがいる世帯では40%の効果があるとされました。

【参考】定額給付金は家計消費にどのような影響を及ぼしたか(内閣府政策統括官)

また、給付額の32.8%の消費支出が増えたことで、名目GDPを6300億円(0.13%)程度押し上げたことになります。

こちらも、地域振興券と同様、国は2兆円を使って、消費の増加分が6300億円ですので、政策としてはあまり評価できない内容です。

まとめ

消費税10%と合わせて実施されるプレミアム商品券ですが、今回は対象者が住民税非課税世帯や3歳半までの子どもがいる世帯に絞られる点で、規模が小さく、単体ではそれほどの経済効果もないと思います。

とはいえ、キャッシュレス決済によるポイント還元や、幼児教育無償化、住宅ローン減税や自動車税の改正など、総合的に考えると、消費税増税の影響を緩和する一つの重要な施策だと思います。

対象者に自動的にプレミアム商品券が送付されることはありませんので、自分が対象だとわかったら、申請手続きをして、満額購入することをオススメします。