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サラリーマンなら確定給付年金と確定拠出年金の両方の名称を聞いたことがあるという人も多いでしょう。
両方とも老後のための年金制度ですが、その2つは大きく異なります。しっかりと理解して老後の備えをしていきましょう。

確定給付年金と確定拠出年金の違いを知ろう

名前は非常によく似ている「確定給付年金」と「確定拠出年金」。

確かにどちらも年金制度ですが、実際の内容は大きく違います。

理解をせずに私的な年金制度に加入してしまうと、しなくてもいい損をしてしまう可能性もあります。

以下では確定給付年金の内容と確定拠出年金との違いについて解説します。

ここで両者の違いをきちんと理解すれば、話題のiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)が必要かどうかを判断できるようになってきます。

確定給付年金は「給付額決定済み」年金制度

確定給付年金とは

確定給付年金は「企業」が運用する

確定給付年金はDB制度(Defined Benefit Plan)とも呼ばれ、ドイツやオランダでも企業年金の主体となっている制度です。

日本では確定給付企業年金法における「確定給付企業年金」を指し、ドイツやオランダと同じく最も加入者数の多い企業年金制度となっています。

以下で確定給付年金と書く場合、この「確定給付企業年金」を指します。

確定給付年金の2つの特徴

  • 将来の給付額をあらかじめ確定させる
  • 運用主体が企業に限定されている

確定給付年金においては、まず企業が毎月の給与などと同じように掛け金を人件費として計上し、拠出・積立を行います。

次にこの資金を保険会社などの外部組織に保全します。

保全された資金は外部組織によって資産として運用されます。

加入者である個人は基本的に何もする必要はなく、企業に勤めているだけで老後の資金を積み立てることができます。

なお、
この資金は定年退職者や離職者などのOBからの請求がない限り、取り崩せません。
資金繰りなどの企業都合で流用できない仕組みになっているのです。

つまり、積み立てた金額は年金の支払い以外の用途では使えないというわけです。

運用リスクは「企業」が背負う

金融資産を運用していれば、運用リスクもつきまといます。

しかし確定給付年金の場合あらかじめ給付額は確定されているため、
仮に元本割れなどの損失が生じても給付額の減額にはなりません。

なぜなら運用責任は企業側にあり、企業には元本割れによって積立不足が生じた場合にそれを補填する義務があるからです。

しかし、いざ給付が必要になった際に積立不足が発覚し、さらには補填する資金までないという事態に陥ってしまうと、例外的に加入者側も減額措置に応じざるを得ません。

実際大きな企業でも給付額の減額に踏み切ることあり、
企業によっては加入者側から訴訟を起こされているケースもあります。

このような状況を阻止するためにも、確定給付年金を運用する企業には、加入者に対して資産運用状況の情報開示が求められています。

また労働組合も加入者側として、資産運用の状況や方針などを確認したり、必要に応じて意見を申し入れたり、適切な資産運用が行われるよう促す役割を担っています。

確定給付年金においては、こうした企業と加入者双方のガバナンス体制が課題のひとつとなります。

確定給付年金には「規約型」と「基金型」がある

確定給付年金には規約型と基金型という二つの種類があります。

規約型とは

規約型説明図

規約型は受託機関(生命保険会社か信託銀行)との契約によって積立を行う確定給付年金です。

企業は規約に基づいた掛け金の拠出を行い、その資金を受託機関が運用を担当します。

給付に関しては企業に対する退職者・離職者の請求を受けて、受託機関から請求者へ行われる仕組みとなっています。

受託機関が運用や給付を行うため、導入のハードルが低く、確定給付年金の主流となっています。

規約型確定給付年金はそもそも2012年3月末まで運用されていた「適格退職金制度」を引き継いで設けられた制度です。

確定給付企業年金法が定める規約型確定給付年金の制度と、適格退職金制度の内容は概ね同じでした。

しかし制度の運用状況を国が監督するための法規制が不十分であることと、導入のハードルが低いことで、いざ給付の段階になって積立金が全く足りていないという状況が多発したのです。

この問題を改善するために確定給付企業年金法が施行され、その結果生まれたのが規約型確定給付年金というわけです。

基金型とは

基金型説明図

もうひとつの確定給付年金が基金型です。

受託機関に掛け金を拠出する規約型に対して、基金型では企業年金基金という特別法人を設立し、この法人に対して掛け金を拠出する形をとります。

この基金は運用する企業とは別の法人格を持っているため、独立した立場からの管理・運用・給付が期待できます。

しかし基金型を運用している企業は多くありません。なぜならこの制度はもともと、運用ルールの自由度の低い厚生年金基金制度の代わりにより自由度を高くして設けられた制度だからです。

厚生年金基金制度を運用していた企業には大企業が大半でした。

そのため基金型を運用している企業も大企業が中心となり、新規に基金を設立するケースは極めて稀となっています。

確定給付年金の留意点

ここまで解説してきた確定給付年金の特徴は下記の通りです。

  • 給付額があらかじめ確定している。
  • 運用主体は企業であり、運用リスクも企業が負う。
  • 規約型と基金型があり、前者が主流である。

他にも二つの留意点があります。

個人ごとの残高はわからない

ひとつは個人別の残高についてです。

確定給付年金の資産運用は企業が一括で行います。そのため「個人ごとの資産」という概念が存在しません。

したがって、個人別の残高を確認することはできません。

離職・転職時には注意

もうひとつは離職者・転職者の扱いについてです。離職者・転職者には二つの選択肢があります。

ひとつは脱退一時金として受け取る方法です。

本来年金は定年退職後に支給されますが、脱退一時金は定年に満たない離職者・転職者に対して支払われるお金です。

もうひとつは転職先の企業年金に移換する方法です。

ただこの方法は法的には問題ないものの、各社のルールによって許されていないケースも少なくありません。

その場合は前者の脱退一時金として受け取ることになります。

確定給付年金と確定拠出年金はどう違う?決め手は「リスク」と「リターン」

リスクとリターン

確定給付年金と確定拠出年金の違い

以上のような特徴を持つ確定給付年金ですが、確定拠出年金とはどのような違いがあるのでしょうか。

以下では企業型確定拠出年金・個人型確定拠出年金(iDeCo)と確定給付年金の違いについて解説します。

企業型確定拠出年金 個人型確定拠出年金 確定給付年金
運用およびリスクの主体 加入者 加入者 企業
給付額 運用次第で増減する。 運用次第で増減する。 原則確定だが、増減する可能性もあり。
掛け金 企業の拠出ルールで決定。 個人が任意で金額を決定。 企業が給付額を満たすような金額を決定。
個人別残高 個人別の年金口座で確認可能。 個人別の年金口座で確認可能。 企業が一括で運用するため確認不可。
離転職時の取り扱い 転職先の企業年金か個人型年金に移換。 継続も可能、転職先の企業年金に移換も可。 原則は脱退一時金。運用ルールによっては転職先の企業年金に移換可能。

両者の違いにおいて特に大きなポイントになるのは「運用およびリスクの主体」「給付額」の二点です。

自己責任か?企業任せか?

第一のポイントが運用主体です。

企業型にしろ個人型にしろ、確定拠出年金では資産を運用するのは自分です。そのため元本割れなどの損失リスクも、自分が負うことになります。

一方確定給付年金を運用するのは企業。

損失リスクも企業が負ってくれるため、基本的に企業任せで年金資産を確保できます。

変動リスクを負うか?給付額を確定させるか?

確定拠出年金は自分で資産を運用する手間とリスクが必要な分、うまく運用しさえすれば元本から大幅に年金資産を増やすことも可能です。

確定拠出年金は全額所得控除となるため、企業型と個人型の併用が認められる場合は、さらに節税しながら年金資産を増やせる可能性もあります。

一方、確定給付年金の方は給付額が減少するリスクは確定拠出年金よりも低いものの、増える可能性も同様に低くなります。

確定給付年金で積立剰余が生じても、給付額の増額以外に会社の負担を軽くしたり、年金財政の安定化を図ったりと別の選択肢があるからです。

リスクとリターンをどう選ぶかがポイント

年金制度 給付金の減少リスク 給付金の増加 運用の手間
確定給付年金 低い 少ない 少ない
確定拠出年金 高い 多い 多い

確定給付年金と確定拠出年金を比較した場合、大まかには次のように捉えられます。

リターンとリスクの関係

  • 確定給付年金・・・ローリスク・ローリターン・ローコスト
  • 確定拠出年金・・・ハイリスク・ハイリターン・ハイコスト

とはいえ、企業に勤めている人にとって「確定給付年金か?確定拠出年金か?」という選択をする場面は起こりえません。

あるとすれば「企業年金に加えて、個人型確定拠出年金を始めるかどうか?」という選択です。

この選択のポイントとなるのがリスクとリターンをどう考えるかです。

自分の価値観や人生観と照らし合わせてみたうえで、得をすると判断した方を選ぶようにしましょう。

人生プランに合わせて年金制度を選ぼう!

年金制度は今すぐどうこうという問題ではなく、何十年も先の人生をどう過ごしたいかという長期間の問題です。

そのため適切な判断をするには人生プランが必要不可欠。

自分の価値観や人生観に合った人生プランを立て、そのプランに合わせて年金制度を選ぶことが大切です。

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