面倒なイメージの確定申告ですが、ついに2019年1月以降はパソコンやスマホから簡単に確定申告ができるようになります。
どのように変わったかを見ていきたいと思います。
これまでのe-taxは事前準備が面倒だった
確定申告は申告期間が決まっていますので、その時期は税務署や申告会場がとても混雑します。
車で確定申告書を提出する人は駐車場に入るまで渋滞したりと、かなり大変です。
これまでもパソコンで確定申告書を作成して提出する方法はあったのですが、その事前準備が面倒でした。
まず、これまでの確定申告書の提出方法を整理してみます。
- 紙の確定申告書を作成して提出する。
- パソコンで確定申告書を作成して印刷したものを郵送する。
- e-taxでパソコンで作成して電子申告する。
2の場合は、国税庁のサイトで確定申告書を作成したものを印刷して郵送するというもので、とても楽なのですが、郵送する際には様々な書類も一緒に送付する必要があり、かなり手間がかかりました。
その点、3のe-taxでの申告は、添付書類は自宅での保管義務がありますので、ちゃんと保管しておけば書類自体を税務署へ提出する必要はありません。パソコンだけで確定申告がすみます。
ただし、e-taxを利用するには事前の準備が必要になります。
事前の準備は…
- e-Taxの開始届の提出(ID・パスワードの設定)
- マイナンバーカードの取得
- ICカードリーダー(マイナンバーカードの電子情報を読み込みます。)の購入
事前準備が整わない理由
現在のe-Taxは、事前準備が面倒です。その理由をいくつか記載したいと思います。
マイナンバーカードを持っている人が少ない
マイナンバーカードは普及率が低く、手元にない人が多いと思います。
総務省が公表した2018年7月1日時点で、マイナンバーカードの普及率は11.5%となっています。(マイナンバーカードの市区町村別交付枚数等について(総務省))
マイナンバーカードは、今後は使用する場面が増えることが予想されますし、株の取引をしている人は証券会社への手続きが楽ですので、ぜひ取得しておきたいところです。
とはいえ、平日に役所へ行くというのは難しいと思います。
ICカードリーダーを購入する気にならない
ICカードリーダーは2000円程度で購入できますので高いものではありませんが、納税の準備でお金を払うというのは、値段に関わらず、腑に落ちないところだと思います。
e-Taxの普及を呼びかけていた当初は、e-Taxの初回に限り納税額を5000円安くするというキャンペーンをやっていたのですが、現在ではありません。
パスワードを2つ管理しなければならない
e-Tax用のID・パスワードとは別に、マイナンバーカードにもパスワードが設定されるので、e-Taxで申告する際にはそれも入力する必要があります。
マイナンバーカードのパスワードはカードの作成時に設定されるものです。
厳重な本人確認で間違えのないようにしたいというのはわかりますが、事前準備などがこんなに面倒だとe-Taxが普及しないのもよくわかります。
IDは覚えられない
初回に開始届出書を提出すると、利用者識別番号が通知されて、その番号がIDになります。
このIDは16桁の数字ですので、記憶できるものではありません。
昨年の申告内容をきちんと管理しておかないと、翌年の申告で困ることになります。
e-Taxの簡便化とは?ID・パスワード方式ならスマホで確定申告ができる!
事前準備が面倒だった従前の方式ですが、2019年1月から以下のように変更されることになりました。
- マイナンバーカード方式
- ID・パスワード方式
1. マイナンバーカード方式とは
マイナンバーカード方式は、e-Taxの開始届出書の提出やID、パスワードを使わず、マイナンバーカードとカードリーダーのみを利用する方式です。
マイナンバーカードを利用することで、本人確認を完了させ、その情報を用いて住所や氏名などの情報を自動入力してくれます。
ただし、マイナンバーカードに設定したパスワードは必要になります。
この方式では、マイナンバーカードとICカードリーダーが必要になりますが、e-Tax用のID・パスワードは不要になります。
ID・パスワードの管理はかなり面倒ですので、継続して確定申告をする場合はメリットが大きいですが、マイナンバーカードが手元にない人は、以前としてハードルが高いと思います。
これまでもe-Taxを利用してきた人には、使いやすくなったと感じるでしょう。
2. ID・パスワード方式(スマホでも確定申告できる)
こちらは、マイナンバーカードが不要で、IDとパスワードのみでe-Taxが利用できるというものです。
この方式は画期的で、一番面倒であったマイナンバーカードとICカードリーダーの準備が不要となります。
特に、サラリーマンが会社で年末調整をした後に医療費控除や、ふるさと納税の確定申告をする際には、スマホからできますので、かなり利便性が向上したと思います。
ただし、この準備として税務署での対面方式による事前の本人確認が必要となります。
結局、税務署に行かなくてはいけないのか。と考えてしまいますが、税務署としても多くの人が来るのは大変ですので、会社単位でまとめて書類を提出することで、本人確認ができるような方法を取っています。
税務署へ行くこともなく、IDとパスワードでスマホから確定申告ができるなら、とても楽になりますね。
e-Taxの準備をした方がいいのか?メリットは?
e-Taxの事前準備が楽になり、スマホも利用できるようになるのですが、これまでに確定申告をしたことのないサラリーマンでも準備をしておくべきでしょうか。
ファイナンシャルプランナーとしての見解は、
「ID・パスワード方式の準備をしておいた方がいい」
ということです。
その理由は、次のとおりです。
ふるさと納税するなら準備をしておこう
いろいろと話題になるふるさと納税ですが、いまやっていない人も、これから始める可能性はあるでしょう。
ふるさと納税では、確定申告不要のワンストップ特例という制度がありますが、この制度は注意点がいくつかあるので、個人的には確定申告をすることを推奨しています。
ふるさと納税がきちんと控除されるためには、確定申告をした方がいいと考えます。
スマホで申告できるならパソコンで面倒な準備が不要
e-Taxはパソコンでしかできないので、パソコンのOSやブラウザのバージョンを確認する必要があり、この作業はすごく煩わしかったです。
スマホで申告できるということは、そういった煩わしい作業から解放されます。
ただし、スマホから申告できる内容は医療費控除と、ふるさと納税などの寄附金控除に限られるようです。
サラリーマンの確定申告であれば、十分だと思います。
還付されるのが早くチェックが少ない
紙で提出された確定申告書は手書きのものも含めて、税務署内でOCR処理をしてデータに読み込み、その上で整合性などをチェックを行います。
一方、e-Taxで申告した内容は最初から電子データで、作成時に自動計算などを行なっていますので、内容に間違えがありません。
そのため、申告内容の確認処理が速やかに行われるので、医療費控除やふるさと納税などの還付申告であれば、かなり早く指定の口座に還付されます。
税務署から指摘される心配もなく、素早く還付を受けられるのは大きなメリットではないでしょうか。
ただし、ID・パスワード方式は暫定措置
国税庁の説明では、マイナンバーカード方式で申告するのが正規の方式で、マイナンバーカードの普及率が低いことからID・パスワード方式を認めているようです。
とはいえ、期限があるわけではないので、当分の間はスマホで申告ができると思います。
まとめ
2019年からe-Taxが新たな方式になるということで、これまで紙に手書きで申告をしていた人もe-Taxで申告してはどうでしょうか。
面倒な事前準備が軽減され、税務署へ行ったり郵送したりする手間が省けますので、とてもメリットが大きいと思います。
また、確定申告に縁がなかった人も、サラリーマンであれば医療費控除やふるさと納税によって、いつ確定申告をすることになってもおかしくないと思います。
これを機会にふるさと納税を始めて、確定申告をしてみるのもいいと思います。