消費税を納付するようになると、中間納付をする必要が出てきます。
消費税の納付は事業を営むものにとっては不可欠ですので、しっかりと認識しておきましょう。
消費税の中間申告・中間納付とは
消費税の中間申告・中間納付とは、前年の消費税の納付税額などに基づいて、今年分の消費税が確定する前に申告して納付する制度です。
中間申告・中間納付をするということは、前年に消費税の課税事業者だったことになります。
個人事業主で課税事業者の場合、翌年の1月1日から3月31日までに消費税の確定申告をする必要があります。(法人の場合は事業年度の終了の日から2ヶ月以内)
課税事業者と免税事業者の判定については以下の記事をご覧ください。
中間申告・中間納付する人
課税事業者として確定申告をして消費税を納付すると、その納付税額に応じて、翌年に中間納付をする必要があります。
中間申告は納めた消費税額(国税分)によって、申告と納付の回数が決められています。
前年の消費税額(国税分) | 中間申告・納付の回数 |
---|---|
48万円以下 | 不要 |
48万円超 400万円以下 |
1回 |
400万円超 4800万円以下 |
3回 |
4800万円超 | 11回 |
中間納付額の計算方法
中間申告に基づいて納付する税額は、原則として前年の金額を元にして行います。
上の表に納付税額を加えたのが以下の表になります。
前年の消費税額 | 中間申告の回数 | 中間納付額 |
---|---|---|
48万円以下 | 不要 | – |
48万円超 400万円以下 |
1回 | 前年の1/2 |
400万円超 4800万円以下 |
3回 | 前年の1/4 |
4800万円超 | 11回 | 前年の1/12 |
中間申告の回数を判定するのは、国税分の消費税の金額ですが、中間納付は国税と地方消費税の両方になります。
納付税額の計算方法は厳密には以下のようになります。(消費税の計算は国税の税額を算出し、その税額を元に地方消費税額を算出しますので、中間納付額も同様の方式を取っています。)
納付税額が1/2の場合
- 国税分=(前年の国税の消費税)/12×6
- 地方消費税=国税分×17/63
消費税8%(国税6.3% 地方1.7%)で計算。
国税分は、まず12で割って端数処理をしてから6を乗じます。(詳しくは後述計算例)
もう一つの計算方法「仮決算方式」
原則的な方法としては、上記のとおり前年の税額に基づいて中間納付額を計算する方法ですが、それに対して、中間申告の期間の仮決算を行なって中間納付額を計算する方法があります。
これを「仮決算方式」といいます。
例えば、前年よりも今年の方が収益が減少した場合や、前年に大きな設備投資をして消費税を多く支払ったが今年は設備投資の予定がなく、消費税の納付額が少なくなる場合は、前年の金額を元にして中間納付額を計算すると、実際の税額と大きな差が出てしまいます。
このような場合には、中間納付する期間の売上などを仮決算して、納付する消費税を計算して申告することができます。
ただし、仮決算方式で中間納付額を計算すると、年間で納め過ぎても還付されませんので、年間の計画をしっかりと踏まえて算定することが重要です。
個人で事業をやっている場合など、中間納付する税額であっても、資金繰りに影響することがあると思いますので、きちんと検討して対応することをおすすめします。
中間申告による税額の納付期限
納付期限は少し変則的になっています。
1月から3月分にかかる納付分は5月末日、他の分は該当月の翌々月の末日になります。(末日が土日の場合は翌営業日になります。)
具体的には以下のようになります。
納期限 | |
---|---|
1回目 | 8月末 |
納期限 | |
---|---|
1〜3月分 | 5月末 |
4〜6月分 | 8月末 |
7〜9月分 | 11月末 |
納期限 | |
---|---|
1〜3月分 | 5月末 |
4〜11月分 | 該当月の翌々月の末日 |
中間納付の例
ここで、端数処理なども含めて中間納付の計算例をお示ししたいと思います。
前年の消費税(国税分)が200万円の場合
消費税率を8%(国税6.3% 地方消費税1.7%)として計算します。
前年分の消費税額(国税分)が200万円ですので、この場合は年1回の中間納付になります。
国税分の納付額
- 200万円 / 12 = 166,666.666…→166,666円(円未満切り捨て)
- 166,666円 × 6 = 999,996→999,900円(100円未満切り捨て)
地方消費税の納付額
- 国税分999,900円 × 17/63 = 269,814.2857…→269,800円(100円未満切り捨て)
合計で・・国税分999,900円 + 地方分269,800円 = 1,269,700円 となります。
中間納付の還付について
前年の税額をもとに計算して中間納付を行なった場合、消費税の確定申告をすることで、年間を通した消費税額を計算し、中間納付で納めた税額を控除します。
このときに中間納付した消費税額の方が多い場合は還付されます。
任意の中間申告制度について
上記の中間申告制度のほか、任意で中間申告でいる制度があります。
納付する消費税額が少なくても、納付が年に1度だと、資金繰りが厳しいこともあるため、自ら中間納付ができるようにと平成27年分の申告から設けられた制度です。
この制度によって、前年の納付税額が48万円以下であっても、任意で消費税の中間納付ができます。
中間申告をする場合は所轄の税務署に届出書を提出するとともに、前年の消費税1/2を納める必要があります。(仮決算方式も可能)
まとめ
消費税は売上などに応じて金額が決まってきます。
事業の状況や資金繰りに大きく影響されますので、中間納付制度を利用するのは大切です。
前年の納付税額が少なかったとしても、任意の中間申告制度を利用するなどして、計画的に納税することをオススメします。