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育児休業など子育て支援には様々な制度があります。
とはいえ、こちらから申請する必要がありますので、制度の知識は知っておくことが重要です。
今回は育児休業給付金について、わかりやすく説明します。

育児休業給付金とは

育児休業給付金は雇用保険によって支給される給付金です。

継続して働きたい人が育児によって退職せず、必要な休暇と給付金を取得できるように定められているもので、育児・介護休業法に基づいています。

出産前から育休を取得するまでの流れは以下のようになります。

出産前42日から出産後56日は産休で出産手当金が支給されます。

産休が終了したら育休へと以降します。

育児休業給付金の受給資格

給付金を取得するためには条件があります。

まず前提として雇用保険に加入している必要があります。

その上で以下の条件に当てはまる人が対象となります。

受給資格

  1. 休業前の2年間に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある
  2. 1歳未満の子どもがいる
  3. 育児休業期間中の給与が通常の8割未満
  4. 休業期間中に働いた日数が1ヶ月あたり10日以下である
  5. 契約社員など期間が決まっている人はさらに条件があり(後述)

1. 育児休業前の2年間に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある

正社員として毎日勤務している人は問題ないと思いますが、契約社員やアルバイトの人は日数が不足している可能性もあると思います。

毎月の就労日数を確認しておくといいでしょう。

2. 1歳未満の子どもがいる

育児休業給付は、原則として、1歳未満の子どもを養育するための休業であり、休業したあとは職場に復帰することが前提となります。退職を前提としていたり退職が決まっている人は受けることができません。

あとで説明する「パパママ育休プラス制度」を利用する場合は1歳2ヶ月まで、保育所に預けられない場合などの理由がある場合は最大で2歳まで給付金を受けることができます。

3. 育児休業期間中の給与が通常の8割未満

育児休業前の給与と、育児休業中の給与を比較して、8割未満であることが必要です。

育児休業前の給与とは、「休業開始時賃金月額」といい、以下の計算式で計算します。

休業開始時賃金月額 = 育児休業開始前の6ヶ月間の給与 ÷ 180

育児休業中でも会社で少しだけ働くなどのことがある場合、その時にもらう給与は給料日に関わらず、きちんと計算する必要があります。

例えば、以下の場合、

  • 給与は6/1〜6/30分を翌月の6/20に支払われる
  • 6/15から育児休業
  • 6/20〜6/23に働いた

この場合、6/20に支払われる給与の一部が育児休業中の給与になります。6/20に支払われる給与全額が育児休業中の給与でないことを考慮して計算する必要があります。

こういったことは会社で計算してくれると思いますが、中小企業などで労務管理に手が回らない会社もあると思いますので、自分でしっかりと認識しておくとよいでしょう。

4. 休業期間中に働いた日数が1ヶ月あたり10日以下である

育児休業の期間に働いていいいのは1ヶ月に10日までです。

ただし、10日を超えても、業務時間がトータルで80時間以下であれば問題ありません。

5. 契約社員など期間が決まっている人はさらに条件あり

上記に加えて、労働の期間を契約で決めて働いている人は以下の条件にも当てはまる必要があります。

  • 現在の会社で1年以上働いている
  • 育児休業後にもその会社で働くことが決まっている

育児休業給付金の金額

支給額は、育児休業中に給与が支払われたかどうかで異なります。

育児休業中に給与が支払われていない場合

支給額 = 休業開始時賃金日額 × 30日(育児休業が終了する月はその日まで)× 支給率67%

育児休業の開始から180日を経過すると、支給率が67%から50%になります。

休業開始時賃金日額とは、育児休業前の6ヶ月の給与を180で割った金額です。

例えば、月の給与が18万円の場合・・

休業開始時賃金日額 = 18万円 × 6ヶ月 ÷ 180 = 6,000円

となります。

この場合の育児休業給付金の支給額は以下のとおりです。

6,000円×30日×67%=120,600円(最初の半年間)

6,000円×30日×50%=90,000円(半年経過後)

休業期間中に給与が支払われている場合

給与が支払われている場合は、支払われた金額に応じて育児休業給付金の支給額が決まります。

  • 支払われた給与が休業開始前賃金月額の30%以下の場合
    支給額=休業開始時賃金日額×日数×50%
  • 支払われた給与が休業開始前賃金月額の30%超80%未満の場合
    支給額=(休業開始時賃金日額×日数×80%)−支払われた給与
  • 支払われた給与が休業開始前賃金月額の80%以上の場合
    支給なし。

支給額には上限がある

支給額が高額になりすぎないよう、上限額が決まっています。

上限額は毎年見直すことになっていて、金額が変更される場合は8月1日に決定されます。

平成30年8月1日に決定した上限額は以下のようになります。

  • 支給率67%の場合…301,299円
  • 支給率50%の場合…224,850円

申請の方法・支給の手続き

申請は基本的に会社が行うことになりますが、会社が勝手に手続きをしてくれるわけではないので、自分から会社に相談する形で、手続きを促すようにした方がいいと思います。

事前に会社としっかりと話をしておきましょう。

会社がハローワークに提出する書類は以下のものになります。

  • 休業開始時賃金月額証明書(給与の台帳、出勤簿などを添付)
  • 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書

また、育児休業を取得する本人が用意するものとしては、母子手帳(育児を行なっていることを証明するもの)、マイナンバー(マイナンバーカードや仮カードで確認)が必要です。

最初の給付金の申請をしたら、それ以降は2ヶ月に一度、会社からハローワークに対して申請を行います。

延長の申請

育児休業給付金は原則として子どもが1歳になるまでとされていますが、一定の条件に該当する場合は最長で子どもが2歳になるまで延長することができます。

延長可能な理由は以下のようになります。

延長申請するための条件

  • 保育園への申請をしているが入れない
  • 夫(配偶者)が死亡や病気、ケガをしたり、離婚して子どもの養育をできなくなった場合など

上記に該当する場合は会社に相談し、会社から延長の申請をしてもらいます。

その際には延長の条件に該当することとなった書類を提出します。

  • 保育所に入れなかった場合
    市町村から受け取る入所できなかったことがわかる書類
  • 配偶者の死亡・離婚
    世帯全員が記載された住民票の写し、母子手帳
  • 配偶者の病気
    医師の診断書

なお、延長の申請は子どもが1歳になった後に6ヶ月の延長、1歳6ヶ月になった後に2歳までの延長を行うことになります。

パパ休暇・パパママ育休プラスとは?

育児休業は母親が取得することが前提とされている制度ではありますが、父親が取得しやすい制度にもなっています。

パパ休暇

育児休業は原則として1回の取得となりますが、子どもが生まれてから8週間以内に育児休業を取得した場合は、父親が2回目を取得することができます。

例えば、母親が産後休業と育児休業をしている期間に、父親も育児休業を取得することができます。

出典:厚生労働省

パパママ育休プラス

両親が同時期または別時期に育児休業を取得することで、原則1歳までの育休期間が2ヶ月延長されます。

また、父親の育児休業についても最初の180日間は給付金の率が67%となります。

育児休業中の社会保険について

育児休業中の社会保険料が気になると思いますが、この期間については支払いは免除されます。

免除ではありますが、厚生年金などの計算においては納付したものとして扱われますので安心です。

育児休業給付金は申請からどれくらいで支給されるのか

冒頭で説明したとおり、育休の期間の前に産休期間があり、そこで出産手当金を受け取っていると思います。

その期間が終了してからの受け取りとなります。

また、申請してから支給までは2ヶ月から3ヶ月ほどかかっている人が多いので、会社の動きが遅いようなら催促した方がいいかもしれません。

なお、申請には期限があります。

申請期限は「休業開始日から4か月を経過する日の属する月の末日まで」となっていますので、注意してください。

まとめ

子どものための政策はいろいろと広がっています。

育児休業に関しても、2歳までの延長やパパママ育休プラスの新設などで、夫婦揃って育休が撮りやすくなりました。

制度をうまく活用して子育てにいかしてください。