児童手当はお子さんがいる家庭に支給されますが、例えば出生届を出せば勝手に振り込まれるわけではありません。
制度を理解して手続きをすることが大切です。今回は児童手当についてわかりやすく解説します。
児童手当とは
児童手当は、中学3年生までの子どもを養育している両親などが、一定の金額を受け取れる制度です。
従前は所得税や住民税の扶養控除とされていたのですが、現在では中学生以下の子どもは税金上の扶養控除はなく、児童手当として支給されるようになりました。
支給の対象について具体的には以下のようになります。
支給の対象となる人
支給対象は、日本に住民登録があり、中学生以下の子どもを養育している人です。
多くの場合、両親のどちらが受給者になりますが、基本的に生計の中心となる人が受給します。
具体的には以下のことを総合的に考慮して決めます。
- 所得がいくらか
- 所得税や住民税でお子さんを扶養に入れているか
- お子さんと一緒の健康保険に加入しているか
両親のうち所得が多い方が受給者となるのが一般的で、児童手当の請求の際には所得の多い方を請求者として記載します。
ただし、両親が別居(離婚協議のためなど)している場合は、子どもと一緒に住んでいる方に支給されます。
単身赴任での別居は両親のうち、所得が多い方に支給されます。
支給の対象となる子ども
日本国内に住民登録がある中学3年生までの子どもが支給の対象となります。
したがって、海外にいる子どもは支給の対象ではないのですが、以下のすべてを満たす場合には支給されます。
- 海外へ行く前に3年を超える期間、日本に住んでいた。
- 海外へ行く目的は留学であって、海外で両親と同居していない。
- 海外へ行ってから3年以内である
つまり、3年以内の留学であれば、児童手当が支給されると考えていいでしょう。
児童手当はいくら?いつまでもらえる?
児童手当は中学生まで受け取ることができて、その金額は月額で以下のようになります。
支給額 | 所得制限あり | |
---|---|---|
3歳未満 | 15,000円 | 5,000円 |
3歳〜小学生 |
10,000円 第3子以降は15,000円 |
|
中学生 | 10,000円 |
子どもの数え方
第1子、第2子などの数え方は、高校3年生(18歳になってから最初の3月31日まで)までの子どもを順番に数えます。
例えば、高校1年生、中学2年生、小学2年生の3人の子どもがいた場合、以下のようになります。
- 高校1年生…第1子(高校生なので児童手当の支給はなし)
- 中学2年生…第2子(児童手当:10,000円)
- 小学2年生…第3子(児童手当:15,000円)
この場合、児童手当の合計額は月額で25,000円になります。
所得制限とは
上の表の中で「所得制限あり」の欄は、一定以上の所得がある人のことです。
前年の所得が一定以上の場合、児童手当は1人あたり一律5,000円になります。
自分の所得は以下のように計算します。
所得 = 所得額 − 控除額 – 8万円
サラリーマンを例にとると以下のようになります。
所得は会社から支給される給与です。源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が所得です。(副業などで他に所得がある人は合計する必要があります。)
控除額は以下の控除の合計です。
- 雑損控除
- 医療費控除
- 小規模企業共済等掛金控除(iDeCoの掛け金などが含まれます)
- 障害者控除
- 寡婦(夫)控除
- 勤労学生控除
例えば、源泉徴収票の「給与所得控除の金額」が750万円で医療費控除が10万円の場合、
750万円 − 10万円 − 8万円 = 732万円
所得は732万円になります。
この所得と以下の所得制限表を比較します。
扶養家族の数 | 所得制限限度額 |
---|---|
0人 | 622万円 |
1人 | 660万円 |
2人 | 698万円 |
3人 | 736万円 |
4人 | 774万円 |
3人家族で奥さんとお子さん1人を扶養している場合、所得制限限度額は扶養人数2人の欄を見ます。
金額は698万円とありますので、これと自分の所得732万円を比較します。
698万円 < 732万円
この場合は所得制限限度額以上の所得になるので、児童手当は一律5,000円になります。
所得に関する証明書は提出不要
所得に関する書類は提出する必要はありません。マイナンバーを利用した情報連携によって役所内で確認できるようになっています。
ただし、引っ越しのタイミングなどによって、役所内で所得を確認できない場合は証明を求められることもあります。
児童手当をもらうには?
児童手当は子どもがいれば勝手に振り込まれるわけではありません。請求する必要があります。
手続きはお住いの市町村の児童手当の担当窓口で行うか、書類を郵送することで行います。なお、公務員の人は職場で請求します。
請求に必要なものは以下のものです。
児童手当の請求に必要なもの
- 印鑑(認印でOK)
- 請求する人の健康保険証のコピー
- マイナンバー
- 身分証明書
- 児童手当の振込先の口座
- 子どもと別居している場合や子どもが海外留学している場合は申立書
身分証明書については、以下のもので確認を行います。
- 顔写真つきのもの 個人番号カード、運転免許証、パスポートなど
- 顔写真なしのもの 健康保険証+年金手帳、健康保険証+住民票など
これらを踏まえると、必要なものは概ね以下のものになります。
窓口に行くときに持っていくもの
- 印鑑
- 請求者の保険証
- マイナンバーカード(または仮カード)
- 運転免許証などの身分証明書
- 振込先口座がわかるもの
窓口に請求者以外の人が行く場合は、委任状や代理人の身分証明書が必要になります。委任状の様式は市町村ごとに指定されていると思いますので、HPなどで確認してください。
また、郵送で申請を受け付けている場合、請求書などの書類をHPなどからダウンロードできます。
郵送するときに送付するもの
- 請求書(HPからダウンロードして記載、押印したもの)
- 請求者の健康保険証のコピー
- 身分証明書のコピー
- 子供と別居、子供が海外留学の場合は申立書(HPからダウンロードして記載)
いつまでに申請すればよいか
児童手当は子どもが生まれたり、違う市町村へ引っ越したときに申請手続きを行います。
手続きを行なった日の翌月分から児童手当を受け取ることができます。
ただし、月末に出産した場合でその月に児童手当の手続きが間に合わない場合は、その日の翌日から15日以内に手続きを行えば、月内に手続きしたことになり、その翌月分から児童手当が支給されます。
例えば、6月30日に生まれた場合、7月15日までに手続きをすることで、7月分から児童手当を受け取ることができます。
児童手当はいつ振り込まれるの?
児童手当の振込は年に3回です。
支給月は2月、6月、10月で、それぞれ4ヶ月分が振り込まれます。
児童手当の振込月
- 10月分〜1月分 → 2月に振込
- 2月分〜5月分 → 6月に振込
- 6月分〜9月分 → 10月に振込
最初の申請が6月の場合、翌月の7月分からとなりますので、10月に7月、8月、9月分の3ヶ月分が振り込まれます。
振込日はお住いの市町村によって少し異なりますが、多くは振込月の15日頃になります。
現況届を毎年提出しなければいけない
児童手当の受給を開始したら、その後、毎年現況届を提出しなければいけません。
現況届とは、毎年6月1日の状況を役所に報告することを言います。
現況届には住所、職業、配偶者、子どもなど家族の状況を記載します。
注意しなければいけないのが、現況届を提出しないと、その年の6月分以降の児童手当が支給されなくなることです。
現況届を忘れてしまう人はかなり多くいます。毎年6月末日が期限となり、期限が近づくととても混雑します。早めに提出するか郵送するのが良いと思います。
なお、遅れて提出しても児童手当は後から支給されるのですが、2年を経過すると時効になってしまい、その分の児童手当を受給することができなくなりますので、気をつけましょう。
まとめ
児童手当の手続きは最初の申請と、毎年の現況届があり、手続きをしないと支給されません。
誰もが受給できる制度ですので、その内容を理解して、きちんと手続きをしましょう。