そろそろ終活を始めようとか、断捨離をしようなどと考えている人いませんか?
断捨離を思いつきで始めると、終わりのない迷路に入り込んでしまいます。
計画的に自分なりのルールを決めることが大切なです!今回は終活の断捨離をFPが徹底解説します。
断捨離は終活の第一歩
このところ、FPへの相談で終活に関することが増えています。
終活とは、自分らしい人生を終えるための活動のことで、ここ数年、急激に注目されるようになりました。
これまでの日本は、死と向き合ったり話し合うことを避ける雰囲気がありましたが、家族葬や密葬など葬儀の方法が多様になってきた中で、死に方を考えることは同時に生き方を考えることだという認識が広まっています。
このようなことを背景に終活が注目されるようになったのです。
とはいえ、実際に終活をしようと思っても、何をするのか分からないという人も多いでしょう。
葬儀の希望を家族に伝えておく、墓を用意するなど、すぐに思いつくこともありますが、驚くことに終活の一環として、入棺体験や模擬葬儀体験などが行える葬儀社も登場しています。
入棺体験とは文字通り棺に入る体験ができるもので、通常であれば死んだ後に入る棺に生きている状態で入ることができます。
入棺体験をすると、多くの人は「まだ死にたくない」「やり残したことがある」と、生きることへの執着を自分の中で感じるそうです。
しかし、そうは言っても入棺体験を行う人の数はまだまだ少数。
もっとも身近に始められる終活は「断捨離」です。
誰もが始められる終活が断捨離
もっと手軽に、何なら今日からでもすぐに始められる終活に断捨離があります。
断捨離(※)とは、ヨーガ(古代インドが発祥の宗教的行法)である「断行(だんぎょう)」「捨行(しゃぎょう)」「離行(りぎょう)」を応用した整理方法で、やましたひでこさんがその第一人者となっています。
(※断捨離という言葉は、やましたひでこさんによって商標登録をされています。)
「不要な物を断ち、捨て、物への執着から離れる」ことで、心を整理し、人生を快適に生きるための行動を指すのですが、断捨離は単なる片付けとは異なり、自分にとって本当に必要なものを取捨選択していく作業となるのです。
終活で断捨離をする理由とは?
自分が死ぬことを想像しながら、生きている間に身の回りの整理をすることに抵抗を感じる人もいるでしょう。
しかし、手付かずの遺品を前にして途方に暮れる遺族を思えば、そうも言っていられません。
いくら家族とは言え、残された遺品の何が大事なものなのかの判断は容易ではありません。
しかも、その遺品整理は大切な人を亡くした悲しみの中で行わなくてはいけません。
また、終活における断捨離をより細かく分けると、生前整理と老前整理に分けられます。
生前整理は遺品の他、遺産分与や契約内容の変更なども含まれ、どちらかと言うと家族のために行う断捨離になります。
一方の老前整理は、身の回りの不要な物を捨てていくことになります。
想い出の品を振り返りながら、本当に手元に残しておきたいものだけ残し、後は思い切って捨てる。
想像すると淋しく感じでしまいますが、実際に老前整理をしてみると、気持ちがスッキリする人が多いようです。
さらに、老前整理をすることで家の中が片付いて、生活しやすくなるというメリットがあります。
物を溜めこんだ家は、窓から差し込む光を遮断し、足元に溢れた物に躓いて転んでしまうなど、年を重ねるごとに住みにくさが際立ってくるため、不要な物を捨てることで生活がしやすくなり、前向きに明るく過ごすことができるようです。
50才までに断捨離を始めよう
終活と聞くと、70~80代の高齢者が行うイメージを持っている人が多いと思いますが、終活という言葉自体の認識が幅広い世代に広がっていることもあり、早い人だと30代から終活を見据えた断捨離を開始しています。
いくらなんでも30代では早すぎるのでは?と思うかも知れませんが、断捨離は体力だけではなく気力も必要となるため、1才でも若いうちに始めるに越したことはない
でしょう。
また、早い段階で「不要な物は捨てる」意識を持っていれば、年を取ってから慌てる必要もありません。
それに、例え30代であっても、不慮の事故や病気で亡くなってしまうことも考えられます。
万が一そうなった時、家族が困らないようにと考える人も今は少なくないようですが、30代で断捨離を始める人は実際には少ないと言えます。
多くは、定年退職時や、夫婦のどちらかが亡くなった場合に始めることが多いようですが、老後の暮らし方を老後になってから考え始めるのでは遅いように、終活における断捨離も人生の一区切りとなる定年退職前の50代から始めるのがお勧めです。
その場合も、いきなりトラックを用意して、いらない物を一晩で全部片づけるということではなく、夫婦で子どもが成人し巣立っていくことを想像しながら、少しずつ整理していけばよいのです。
10年かけて断捨離を行っていけば、60才の定年時にはかなり身辺がすっきりとしているはずです。
余計なものを待たずに老後生活に突入していけるので、年老いてから面倒な作業を行う手間を省くことができます。
断捨離の仕方やポイント
いざ断捨離を始めよう!と思っても、何を捨てたら良いのかよくわかりませんよね。ここでは、断捨離のやり方をご紹介したいと思います。この内容を参考に、計画的に断捨離を進めていってくださいね。
不要な物が増えないようにする
断捨離の第一段階は、捨てるのではなく、物を増やさないようにします。
例えば、スーパーなどにある無料のカタログや、化粧品のサンプル、街中で配っているティッシュなどは、持ち帰っても読まなかったり、在庫がたくさんある状態ではないでしょうか。
“いつか必要になるかも知れない”ものは今の時点で必要性を感じていないと言えるので、いくら無料であっても貰わないようにします。
今、使っていない物を処分する
次に、すでに持っている中で使っていない物を捨てていきます。
1年使っていないとか、2年使っていないとか、そういった基準を決めて捨てていくとスムーズに進みます。
具体的には、クローゼットに仕舞いっぱなしになっている服や、使用頻度の低い食器、子どもが小さい時に遊んでいた玩具、直して使おうとしている家電や家具など。
また、CDやDVD、本などは集めること自体が趣味(コレクター)という人もいますが、もう何年も読んだり聴いたりしていないのであれば、思い切って処分することも必要です。
見落としがちなのが、庭の片隅に転がっている植木鉢や使用期限切れの調味料などです。
これらは、そこにあることが住環境の一部となっているため、普段は特に気に留めないことが多いのですが、この先も使うことがないものですよね。
断捨離では、このようなものも積極的に掘り出して処分することが必要です。
断捨離は必ず本人が行う
自分が知らないうちに思い入れのあるものが勝手に処分されてしまうと、もう二度と手にできない分、強い執着心を生み出したり、断捨離自体に否定的な気持ちを抱きやすくなります。
断捨離は、単に物を捨てるだけではなく、同時に心の整理をしていることになるので、自分の意思で「必要がない」と判断した上で捨てることがとても大切です。
写真の整理は重要・ネガの保存も可能
写真への思い入れは本人じゃないとわかりませんし、遺族が処分に悩む物の一です。本人が必ず確認をする必要があります。
写真の枚数が多すぎる場合には、かさばるネガフィルムをデータ化してSDカードにて保存する方法もあります。
スキャナーを使って自分で保存することができますが、機械が苦手なら写真店にネガフィルムを持ち込んでデータ化してもらうことも可能です。
また、作品などは写真に撮って保存しておくと置き場所に困らず、想い出をとっておくことができます。
分類しながら進める
断捨離をしていると、すぐに捨てて構わないと判断できるものもあれば、捨てるべきか取っておくべきか迷うものもでてきます。
そのような場合は、「必要」「不要」「迷っているもの」と3種類に分類しながら進めるのがいいでしょう。
すぐに決断できないものは、一旦「迷っているもの」の箱に入れておくのです。
断捨離は、始めたばかりの時は圧倒的に捨てられないことが多いのですが、どんどんと家の中が綺麗に片付いてくると、それまでは迷っているものの箱に入れていたものでも、きっぱりと不要の箱に入れられるようになります。
その上で、再度迷っているものの箱を見返すと、明確に必要か不要かを判断できるようになります。
また、最初に必要の箱に入れたものでも、「過去1年間使ったか」ということを基準に考えてみると、案外必要がなかったと思えることが多いので、仕分けした後にもう一度確認してみることもお勧めします。
クレジットカードを解約する
クレジットカードを所有している場合、契約者本人が亡くなった後の解約手続きが面倒になるため、遺族の負担になる可能性があります。
複数所有している人は利用頻度の高いクレジットカードのみを残し、他は解約してしまうのがよいでしょう。
ただし、すべてのクレジットカードを処分してしまうと、生活が不便になることがあるので注意して下さい。
また、残したクレジットカードの解約が遺族への負担となることを少しでも減らしたいなら、クレジットカードを申し込んだ際の個人情報や暗証番号などを控えておくのがよいでしょう。
デジタル情報も断捨離する
今は高齢者であってもインターネットやSNSを駆使し、様々な情報を発信したり取得したりしていますよね。
サイトを利用する場合は会員登録が必要ですし、ネットバンクやブログなどのアカウントを持っている人もいるでしょう。
これらは本人が解約をしない限り、インターネット上にずっと情報が残ることになってしまいます。
また、スマホやパソコンの起動時のパスワードがわからないと、開くことすらできなくなってしまうので、パスワードなどの個人情報はメモに控えておき、後々家族が解約などしやすい状態にしておくとよいでしょう。
その際、人に見られたくない情報などがあれば、あらかじめ消去しておくとよいでしょう。
家族に断捨離することを宣言する
処分したいものの中には、家族にバレたくないもの(例えば人には知られたくない趣味や、不倫の証拠となりそうなもの)もあるので、できればこっそりと行いたいという人もいるかも知れません。
しかし、本人にとっては不要なものであっても、家族には捨てたくない大切な思い出である場合もあります。
そのため、断捨離は家族に知らせた上で行う方がよいです。
こっそり物を処分していると、いかがわしいことがあるのかと疑われたり、健康状態を心配されてしまう場合があります。
どうしても人に見られたくないものだけ先に処分し、それから断捨離を宣言して家族と一緒に持ち物の整理を始めるのがよいでしょう。
断捨離し過ぎない
終活における断捨離は、とにかく物をなくして身軽になることが目的ではなく、自分の亡き後に遺族が困らないように整理しておくという目線で行うとよいでしょう。
捨てることに意識を向けすぎると、後々「捨てなければよかった」と後悔してしまったり、勢い余って預金通帳や不動産関係の書類を、たくさんのゴミに紛れて一緒に捨ててしまった・・ということは割とよくあるそうです。
大事な書類は保管する場所を作っておき、家族にもその場所を教えておくとよいでしょう。
断捨離にかかる費用
断捨離で出た不用品の処分には、主に次の3つの方法があります。
- 自治体のゴミ収集日に出す
- リサイクルショップに売る
- 友人や知人に譲る
ゴミとして出す場合、一般ゴミであればゴミ袋代しかかかりませんが、大型ゴミや特殊ゴミなどは別途料金を支払って回収してもらう必要があります。
また、すべてをゴミとして出す前に、先にリサイクルショップへ持っていき査定してもらうとよいでしょう。
思わぬ価値があって予想よりも高く引き取ってもらえたらラッキーですし、二束三文でもお金を出してゴミとして回収してもらうよりもずっとお得です。
さらに、友人や知人に譲る方法もあります。
ただし、無理やり押し付けるようなことは止めましょう。
以前から欲しがっていたものや、似たようなものを探している場合はきっと喜ばれると思います。
断捨離が難しい時は遺品整理業者を利用する方法も
自分では対処ができないという人は、遺品整理業者に頼む方法もあります。
遺品整理業者と言っても、亡くなってからではなく生前整理をお願いすることもできます。
知識を持った人と一緒に断捨離を行うことで、悩んだり迷ったりする時間が短縮され、スムーズに作業を進めることができるでしょう。
遺品整理業者に頼んだ場合、部屋数や作業員数などによって料金が異なりますが、おおよそ10~30万円が相場といわれています。
また、遺品整理業者の中には、不用品の買い取りや処分をしてくれるところもあります。
その場合は不要な物の回収も一度に済むので便利ですよね。
悪徳業者に注意
遺品整理業者を利用する時は、複数の業者から見積もりをとりましょう。
その際、自宅まで来て状況を把握した上で見積もりをとってくれ、なおかつ作業計画などをきちんと提出してくれる、信頼のおける業者を選ぶようにして下さい。
遺品整理業者の中には引きとった家具などを横流しするなど、トラブルの元となることを行うところもあるので注意して下さい。
まとめ
断捨離のポイントや方法について、理解していただけたでしょうか。
終活や断捨離は決して後ろ向きなものではなく、生活を豊かにするためのものなのです。
早いうちから、自分の環境を見直して、整理をしていくといいと思います。