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事業をやっていている人は、経費の計上などによって税金を少なくするようにしていると思います。
ただし、節税も行き過ぎると脱税になるのでは?と考えている人もいるでしょう。
今回は脱税と節税の違いについてわかりやすく説明します。

脱税は法律に反して納税を逃れる行為

脱税は法律に違反して納税を逃れる行為です。

計算ミスや小さい金額であれば申告漏れとして、修正申告をすることや追徴課税で済みますが、意図的に所得隠しを行なっていることが判明すれば、脱税として刑事罰に問われる可能性があります。

まずは、申告漏れや納税額を少なく申告したことによって課せられる4つの加算税について説明します。

4つの加算税

申告漏れや脱税に該当すると、本税に加えて加算税が課せられます。

加算税には大きく4つあります。

  1. 無申告加算税
  2. 過少申告加算税
  3. 不納付加算税
  4. 重加算税

1. 無申告加算税

申告期限までに申告すべき内容を申告しないと、無申告加算税が課せられます。

原則として無申告加算税は以下の税率になっています。

  • 税務署の調査通知前に自主的に納付した場合、納付すべき税額の5%、
  • 税務署の調査通知の受けてから納付した場合、納付すべき税額の10%(50万円を超える部分は15%)
  • 税務署の調査後に納付した場合、納付すべき税額の15%(50万円を超える部分は20%)

【参考】確定申告を忘れたとき(国税庁タックスアンサー)

2. 過少申告加算税

申告期限内に申告をしたけれど、申告した納税額が少なかった場合に、過少申告加算税が課せられます。

無申告加算税と異なり、申告をしていることから、税務署の調査前に樹種的に修正申告をして納付すれば過少申告加算税はかかりません。

課せられるのは原則として、以下の場合になります。

  • 税務署の調査通知の受けてから申告を行う場合、納付すべき税額の5%(50万円を超える部分は10%)
  • 税務署の調査後に納付した場合、納付すべき税額の10%(50万円を超える部分は15%)

【参考】確定申告を間違えたとき(国税庁タックスアンサー)

3. 不納付加算税

会社は従業員の納付する所得税を源泉徴収して、税務署に納めるのですが、これを期限内に支払わなかった場合に不納付加算税が課せられます。

不納付加算税の税率は以下のとおりです。

  • 税務署から指摘を受ける前に納付した場合、納付すべき税額の5%
  • 税務署からの指摘後に納付する場合、納付すべき税額の10%

4. 重加算税

所得隠しなど、事実の隠蔽をしたり、仮装した場合に課せられます。

重加算税の税率は納付すべき税額に対して、35%から40%になり、かなり高い税率になっています。

【参考】加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし(国税庁)

刑事罰になった場合

脱税額が数千万円から億に達するなど、悪質な場合は刑事罰が課せられることがあります。

刑罰としては、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(両方もあり)が科せられます。

例えば、所得税の場合は所得税法第238条に罰則規定が設けられています。

所得税法(抜粋)
省略
十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
所得税法第238条(e-Gov)

脱税となる具体的な事例

税務署の調査が入り、脱税(過少申告)と判断されれば、上記の加算税のいずれかが課せられることになります。

具体的に言うと、以下のようなものが当てはまりまので注意してください。

架空経費の計上

実際に雇っていないのに、雇ったことにして人件費を架空に計上したりします。

アルバイトで少し手伝ってもらったといったようにすることで、社会保険料とは関係なく経費を計上できるため、手口としては多いようす。

個人事業主でも簡単にできるような手法です。

売上を隠す

通常の取引ではなく、まれに発生する現金取引などを隠蔽することがあるようです。

ラーメン屋さんなんかでも、替え玉やトッピングを食券でなく、後から現金で注文するお店があると思います。

そういったケースだと、それを売上として計上していないことがあり、売り上げの隠ぺいと見なされることがあります。

領収書の捏造

購入していないものを購入したように領収書を作成したり、白紙の領収書に好きに数字を書きいれたり、既存の領収書の数字を書き換えたり、桁を増やしたりする行為です。

経費の範囲については、境界線がグレーなものもあります。

多少間違えたとしても脱税として重い刑罰が科せられることはないと思いますが、過少申告として修正申告を提出の上、過少申告加算税や利子税と一緒に追加で納付するということになるでしょう。

節税とは適法に税金を少なくする行為

節税とは法律どおりの手続きによって、税金の負担を軽くする行為です。

もちろん適法ですから、加算税などを課せられることもありません。

制度を知っているだけで、節税になるといったものも多く存在します。

税理士に依頼するまでもなく、自分でできることもありますので、一度は確認した方がいいでしょう。

ただし、節税だと思っていたのに、法律どおりではなかった・・と言う人もいて、修正申告をすることになった人もいます。

お願いする税理士さんによって、節税の金額が大きく異なることがありますが、法律をどのように解釈するのか、といったことも関係するかもしれません。

租税回避とは

節税や脱税と似た言葉に「租税回避」というものがあります。

税金を課税するためには、法律が必要になります。逆に、法律がなければ課税されることはないのです。

租税回避とは、法律をかいくぐって課税されないようにすることをいいます。

「税逃れ」というような言い方をすることもあります。

例えば、海外に一定期間居住することで、日本の居住者でなくなり、株の運用益に課税されなかったりといったことが過去にはありました。

ズルイ行為だと思っても、課税するための法律がなければ、課税することはできません。

こういった行為はこれまでにたくさんあって、法律の整備と租税回避はイタチごっこを続けてきました。

租税回避がうまい税理士は、とても重宝されるのだと思います。

まとめ

脱税と節税の違いを理解していただけたでしょうか。

日本に住んでいる以上、納税義務から逃れることはできません。

まずは、申告することが大切です。

しっかりと申告をして納税しましょう。