ゴリFPゴリFP

タワーマンションで相続税の節税ができるのを知っていますか?
固定資産税については課税の見直しがされましたが、相続税はどうでしょうか。
今回はタワマン節税について説明します。

タワマン節税とは

タワマン節税とは、タワーマンションを購入して相続税などを節税することです。

一戸建てやマンションを購入すると様々な税金がかかります。

中でも購入時の不動産取得税、毎年支払う固定資産税、相続時に支払う相続税は金額が大きくなります。

住宅について、それぞれの税金の計算を簡単に示すと以下のようになります。

  • 不動産取得税 = (固定資産税評価額 × 1/2) × 3%
  • 固定資産税 = 固定資産評価額 × 1.7%(固定資産税1.4% 都市計画税0.3%)
  • 相続税 = 固定資産評価額 × 税率

実際の計算は特例などの適用があったりするので、もう少し複雑ですが、基本的にはこのようになります。

どの計算式にも「固定資産評価額」というものが入っていると思います。

固定資産評価額が少なければ、どれも税金が少なくなるわけです。

タワーマンションの固定資産評価額はどのように決まるのか

固定資産評価額とは、土地と家屋の2つの評価額を合計したものです。

両方とも市場価格よりもかなり低い金額になります。

一戸建ての物件であれば、市町村の固定資産税担当職員が新築物件を1件ずつ確認して、評価額を計算していきます。

マンションの場合は、1部屋ごと評価するのではなく、1棟ごとに図面などを使って家屋(建物)の評価を行い、全体の面積を部屋の面積などで按分し、1部屋ごとの評価額を算定していきます。土地については路線価などを使い、マンションの所有する割合に応じて評価額が決まります。

つまり、マンションの固定資産評価額は、住んでいる階数や、部屋の値段に関係なく、部屋の面積に応じて決まるのです。

  • 一戸建て・・・豪華な家は評価額が高くなる。
  • マンション・・部屋ごとの豪華さは関係なく、1棟丸ごとの評価を部屋の面積で按分する。

タワーマンションの評価も通常のマンションと同様ですが、以下のような傾向があります。

  • タワーマンションの場合は部屋数が多いため、土地の一人一人の所有割合が小さくなる傾向にある。
  • 高層階の部屋は豪華に作られていることが多いため、高層階は特に固定資産評価額との乖離が大きくなる。

タワーマンションは、土地の持分割合が小さく、内装の豪華さなどが関係なく評価されるので、特に高層階については市場価格と固定資産評価額に大きな乖離が生じる傾向があります。

また、固定資産は3年に一度「評価替え」を行います。

これは、土地の地価動向や家屋の減耗などを考慮して、土地と家屋を再評価するものです。

前述のとおり、タワーマンションの固定資産評価額には土地分の割合が少ないため、地価動向の影響を受けにくく、家屋分が3年に一度少なくなっていくので、節税効果が高いと言えます。

現金とタワーマンションでは相続税が大きく違う

実際にタワーマンションの評価額がどのくらいになるのか、地域や物件によって異なりますが、1億円程度の物件であっても、固定資産評価額は2000万円程度になることもあります。

この場合の相続税について、1億円を現金で保有していた場合と比較すると次のようになります。

  • 1億円を現金で保有していた場合の相続税…3000万円程度
  • 1億円のタワーマンションの相続税…300万円程度

ざっくりと税率を乗じただけですが、タワーマンションの場合は1/10になってしまいます。

ただし、タワーマンションでも下層階に住んでいる人にとっては、節税効果は薄いと言えます。

高層階の1億円の部屋も、下層階の5000万円の部屋も、基本的には面積按分になりますので、同じ広さであれば、両方とも固定資産評価額は2000万円になります。

タワーマンションの節税で注意すべき点

節税効果の高いタワーマンションですが、注意点もあります。

タワーマンションの価値が下落している地域もある

これまで価値が高かったタワーマンションですが、一部の地区では価格が下落傾向にあります。

タワーマンションの増加などで人口が増えすぎてしまい、インフラ整備が追いつかず、問題になっている地域もあります。

居住用として購入するのであれば問題ないのですが、投資用や節税用として購入した場合、しっかりと利益を出して売り抜けられるかは難しいところです。

購入する場合は自分でしっかりと調査をした方がいいでしょう。

あからさまな節税は税務署から否認されることも

居住用として住んでいたタワーマンションを相続する場合は問題ないのですが、購入時期などに疑義があると税務署に認めてもらえないことがあります。

例えば、病気で入院している両親などの名義でタワーマンションを購入し、その後、両親が亡くなり、自分が相続してすぐに売却するなどした場合、思い通りの相続税にならない場合があります。

少なくとも、相続税の申告まで居住するなど、事前に専門家と対策を練る必要があります。

タワーマンションの課税方式が見直された

上記のように、これまでは節税効果が高かったタワーマンションですが、2018年からは固定資産税の評価方式が改正されました。

  • 対象となる物件:2018年1月1日以降に新たに課税されるタワーマンション
  • タワーマンション:高さ60メートル以上(概ね20階以上)

この改正によって固定資産税は以下のように変更となります。(変更前の固定資産税を20万円とした場合)

現在の固定資産税 改正後
50階 20万円 21.2万円
40階 20万円 20.7万円
30階 20万円 20.2万円
20階 20万円 19.7万円
10階 20万円 19.3万円
1階 20万円 18.8万円

このように固定資産税については、高層階の税金が高くなります。ただし、大きな変更とはいえません。

この改正は固定資産税のみで、相続税などについては影響はないようです。

平成29年度税制改正大綱には次のような記述があります。

当該居住用超高層建築物全体に係る固定資産税額を各区分所有者にあん分する際に用いる当該各区分所有者の専有部分の床面積を、住戸の所在する階層の差違による床面積当たりの取引単価の変化の傾向を反映するための補正率により補正する。
平成29年度税制改正大綱

相続税についてはこういった記載はなく、相続税にも使われる固定資産評価額の変更ではなく、あくまでも固定資産税を計算する上での改正ということになっています。

したがって、相続税についてはタワマン節税は今後も継続して使えるというわけです。

まとめ

タワーマンションの節税について説明してきました。

高級なタワーマンションでも固定資産の評価は普通のマンションと変わりないということです。

余裕があってタワーマンションを購入できる人、または現在タワーマンションに住んでいる人は大いに節税を意識してください。