代行の副業の魅力
「働き方改革」の一環として、正社員で働く人の副業・兼業が解禁へと動き出しています。
すでに社内規約において副業をOKとする企業も出てきており、これを機に仕事以外の時間を副業に充てて、少しでも収入を増やしたいと思っている人も多いのではないでしょうか。
現在、副業として行われている仕事で多いのは、飲食店での接客や軽作業、販売レジ、一般事務などです。
難しい資格がいらないため手軽に始められそうにも思えますが、一方で雇い主側の都合で働く時間などが決められてしまう傾向があり、本業と掛け持ちをしながら働くには苦労する面があります。
副業に興味はあるものの、本業との都合がつかずに働けない日があるなど、日程の調整が難しそうだからと断念している人も多くいます。
そのような中、自由度の高い副業として今、注目を集めているのが「代行業」です。
代行業とは、依頼主に変わってその仕事を請け負うもの。
多くの場合、仲介業者(代行サービス)に登録して仕事を行いますが、一般的なアルバイトやパートのように業者側から「この時間に入って下さい」と働く時間を指定されるのではなく、自分が働ける時間に仕事を請け負うことができるのです。
また、代行業は日常的な雑用が多いため、特別な資格は不要で、誰でも気軽に始められるのも特徴です。
それでは、代行業には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
いくつか代表的なものをご紹介したいと思います。
家事代行
代行業と聞くと、家事代行を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
家事代行の名の通り、掃除や炊事、洗濯などの家事を行うサービスのことで、家事に時間をとりにくい共稼ぎ世帯はもちろんのこと、仕事で残業や出張の多い単身者からの依頼も多く、代行業の中でも最も普及しています。
家事代行を行っているのは圧倒的に主婦が多く、普段自宅で行っていることをそのまま仕事のスキルとして生かすことができます。
働く人の多くが、他のパートと兼業で世帯収入のアップを目指しています。
また、最初は副業で家事代行を始め、やがて独立する人も少なくありません。
家事代行の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
家事代行とは 家事代行とは、家事を代行するサービスのことです。 これまでの日本は、家事全般は主婦が一身に受けていましたが、働く女性が増える中、夫婦共稼ぎの家庭ではなかなか家事にまで手が回らないのが現状です。 実は昔から家 …
宿題代行
宿題代行は、主に小中高校生を対象に、学校から出される宿題を代行する仕事です。
宿題に含まれる内容は、算数や漢字のドリルを始め、プリント、問題集、自由研究や読書感想文、標語ポスターなど多岐に渡ります。
また、学校以外に、塾や習い事の教室から提出を促されるものについても対応をしている業者も存在します。
宿題代行については、テレビ番組などで取り上げられることも多く、「学校から出された宿題は本来、子どもがやるべき」などの倫理的な問題が幾度となく議論の対象となっています。
これに対して宿題代行業者としては、以下のような状況において、宿題代行は決して責められるべきものではなく、確かなニーズがあるとしています。
- 現在の教育現場の現状として保護者の要請などで大量の宿題を出される事実もあり、受験勉強を控えた子どもがやるべき勉強をする時間がとれないことがある。
- 学校から出される宿題の中には先生が実績を作るためだけに提出を求めるものがあり、毎年同じ宿題をコピーしているだけのものがある。
こうした状況があり、需要がある以上、堂々と副業をしてもよいのではないでしょうか。
始め方
宿題代行を行っている業者に登録をして、仕事を斡旋してもらいます。
宿題代行の仕事を行っているのは大学生が多いと言われ、ひと昔前までは家庭教師を選んでいた人が、依頼主の自宅に通う手間もなく、在宅で仕事ができる宿題代行を選ぶケースが増えているようです。
そのため、宿題代行業者によっては大学在学中(もしくは卒業)が、登録の条件となっている場合もあり、高卒や専門学校卒業では採用されないこともあります。
なお、宿題代行は単に宿題を子どもに代わって行うだけではなく、筆跡を本人に似せて書いたり、時にはわざと間違って答えを書くなど、それなりに工夫を必要とする場合もあり、根気がいる作業が苦手な人には不向きな面があるでしょう。
収入
宿題代行の依頼は夏休みや冬休みと言った長期休みに最も多くなり、それ以外の時期との仕事量に差があるため、収入については一概には言えない部分があります。
ただし、宿題代行の多くは歩合制のため、忙しい時期であればそれなりに稼ぐことができます。
また、宿題は年齢が上がるごとに難しくなっていくため、小学生と高校生では同じ教科でも単価が異なります。
例えば、小学生の宿題代行の場合、頼んだ人が支払う相場の目安としては以下のとおりです。
- ドリルは1ページ500円、一冊なら5,000円
- 感想文や作文は400文字の原稿用紙1枚が4,000円
- 自由研究は7,000~8,000円
- 工作は10,000~20,000円
ここから業者が決めている割合に応じて報酬を受け取る形となります。
さらに、仕上げまでの日数が短い緊急の依頼は、作業内容に応じて料金が上乗せされます。
個人で宿題代行を行っている大学生(美大生)が、20万円を稼いだとする例もあります。
買い物代行
買い物代行は、買い物を代わりに行う仕事です。
高齢のためスーパーなどに買い出しに行くのが困難な人や、小さな子どもがいて落ち着いて買い物ができない、共働きで買い物をする時間がない、怪我や病気などで外出が難しい人などが利用しています。
その他、住んでいる地域では発売されていない商品を買ってきて欲しいと言った依頼を受けることもあります。
例えば、コンサートがよく行われる地域に住んでいると、遠方に住んでいてコンサートに行けない人からコンサートグッズの買い物代行を受けることがあります。
始め方
買い物代行のみを行っている業者はほとんどありません。
あったとしても個人でサイトなどを立ち上げて、一人で行っている場合が多いようです。
買い物代行は、家事代行や訪問介護を行っている業者に登録して仕事を斡旋してもらう形になります。
買い物自体は経験などが特に必要がないため、誰でもできる仕事と言えますが、依頼の中には限定販売される商品の依頼もあり、そのような場合は事前に下調べなどが必要になります。
収入
相場としては、一件あたり500円程度の報酬が多いと言われます。
また、買い物先が二件になる時は、二件分(一件が500円なら1,000円)となります。(業者によって異なります。)
自宅から近いスーパーなどへの買い出しであれば、自分用の買い物を行うついでに買い物代行を行うことができるので、手間なく収入を得ることができます。
ただし、買い物代行のみを副業として行っても、現状では依頼数がそこまで多くはないので、まとまった収入を得るのは難しいと言えるでしょう。
お遍路代行
依頼主に変わって四国八十八ヶ所を巡るお遍路を行うサービスです。
四国八十八ヶ所(四国八十八箇所とも言います)は、弘法大使にちなんだ88の寺院のことを指し、故人の弔いや健康祈願などを目的にお寺を巡礼することを言います。
このような参拝は本人が行ってこそご利益があるもの、と考えられがちですが、実はお遍路の代行は古くから日本にある習慣の一つであり、代行してもらったからと言ってご利益がないわけではありません。
お遍路代行は最初から全ての巡礼を依頼される場合もありますが、中には途中まで回っていたものの病気や怪我などの理由で断念せざるを得なくなり、残りを代行に頼む人もいます。
始め方
お遍路代行を行っている業者に登録をする方法が一般的ですが、個人でサイトなどを開いて行っている人もいます。
なお、場所が四国に限定されるため、四国在住の人以外は副業として行うのは難しいと言えるでしょう。
収入
お遍路は徒歩のみで行うものと、公共交通機関やバイク、車を利用して行うものに分かれます。
業者によって料金は異なりますが、徒歩の相場は30~50万円程度、公共交通機関や車を利用すると15~30万円ほどとなっています。
ここから業者の取り分を差し引いて、残りが支払われます。
謝罪代行
謝罪代行は、依頼主に代わって謝罪を行う仕事です。
謝罪は本来、間違いを犯してしまった人が被害に遭った人に対して、誠意をもって行うものです。
日本には謝罪の文化が根底にあるため、何かトラブルが起こると責任の所在が明確になる前にお互いに「すいません」「申し訳ありませんでした」など、謝罪の言葉を口にする状況が多いと言えるでしょう。
しかし近年は、そのような謝罪の文化を逆手にとって、難癖をつける人が増えてきました。
いわゆる、モンスタークレーマーと呼ばれる人達です。
誠意をもって謝罪をしても、それが受け入れられない場合があります。
現代の若者は怒られ慣れていない人も多く、このような状況が長く続くと仕事などに支障が現れる恐れがあることから、問題を上手く解決できる謝罪のプロに頼むケースが増えています。
謝罪代行では、本人に成り代わって謝罪を行う以外にも、上司や家族、知人などの立場を演じて謝罪の場に同席する場合もあります。
始め方
謝罪代行業者に登録をします。
依頼の内容によって演じる人物や状況が異なるため、演技力のある人が向いていると言えるでしょう。
なお、謝罪代行の依頼で多いのは、男女関係の縺れ(不倫や別れ話など)と、仕事上のミスやトラブルとなっています。
収入
謝罪代行には、直接相手と会わずにメールや電話で謝罪を行うものと、相手と面と向かい合って謝罪するものの2通りがあります。
メールや電話での謝罪代行は、相場は一件につき10,000円ほどになります。
面と向かい合った形での謝罪代行であれば、一件につき25,000円~となり、この他に交通費や宿泊費、拘束時間に対する超過分などが上乗せになります。
墓参り代行
墓参り代行は、事情があって墓参りに行けない人に変わって墓参りを行うサービスです。
身内でもない人に先祖を供養してもらうなんて・・と言う人もいますが、墓参りができないままだと雑草などが生えて墓地が荒れ放題になり、それこそ先祖に申し訳が立ちません。
墓参り代行を依頼する人は、高齢で山道やバリアフリー化されていない墓地に出向くのが難しい、小さな子どもがいるため長距離の移動が大変、仕事が休めないなど、やむを得ない理由がほとんどです。
そのため、代行とは言え丁寧な仕事を望む場合が多く、礼拝はもちろんのこと、献花や線香をあげる、墓地の掃除・清掃が基本となっていることが多いです。
業者の中には、綺麗になった写真や動画を撮り、依頼主に渡すサービスまで含んでいるところもあります。
始め方
墓参り代行を専門に行っている業者に登録をするか、家事代行や便利屋を行っている業者が墓参り代行も行っている場合が多いので、そちらに登録をして仕事の依頼を待ちます。
また、最近は墓石を販売している石材会社や、お寺でも墓参り代行を行っています。
個人でサイトを立ち上げて墓参り代行を行っている人や、元は代行業者に登録していたものの、墓参り代行の需要が増えていることから起業して会社を興した人もいます。
収入
墓参り代行は、作業の内容によって料金が変わりますが、上記にあげた基本的なプランであれば15,000~20,000円ほどの相場となっています。
仕事として請け負った場合、手取りは5,000~10,000円ほどになるようです。
なお、墓参り代行の繁忙期はやはりお盆とお彼岸の時期になります。
この時期になると一日数件の依頼をこなすこともあり、一日で数万円の収入になることもあります。
平日はサラリーマンとして働き、休日(土日)のみ墓参り代行の副業を行っていた人が、一ヵ月で15万円ほど稼いだケースもあるようです。
墓参り代行は、知名度も年々高くなっており、それに伴って需要も大きく伸びているため、ある程度まとまった稼ぎが欲しいという人には狙い目の仕事と言えるでしょう。
まとめ
今回は代行の副業について、まとめてみました。
代行といっても、一括りではなく、様々な種類があることがわかっていただけたと思います。
副業ですから、自分にあったもの、楽しんでできそうなものを選択するといいと思います。
参考にして、自分にあった副業を見つけてください。