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総務省は毎年ふるさと納税に関する現況調査結果を公表しています。
内容を見てと自治体の受入額と税金の控除額に大きな差があるので、控除されていない人がいるのでは?と感じました。
FPの考察をお話したいと思います。

毎年公表される「ふるさと納税に関する現況調査」

総務省は毎年、各自治体のふるさと納税の状況を調査しています。

調査は主に以下の内容です。

主な調査内容

  • ふるさと納税の受入額・件数
  • ふるさと納税の使い道について
  • ふるさと納税の募集に使った経費
  • 住民税の控除額について

ふるさと納税の受入額・件数

毎年増加の一途を辿っているふるさと納税ですが、集計値を見ると、まさにその状況がよくわかります。

出典:ふるさと納税に関する現況調査結果(令和元年度実施)総務省

平成30年度のふるさと納税の受入額は約5,127億円で、平成29年度と比較すると約1,474億円の増加で4割以上の増加になっています。

件数も平成30年度は約2,322万件となり、約3.5割の増加となっています。

少し意外だったのが、ふるさと納税の金額のうち、ワンストップ特例を利用している人は2割程度ということです。

ワンストップ特例はふるさと納税先が5箇所までなどとルールがあるため、確定申告を選ぶ人が多いのかもしれません。

当サイトでも、ふるさと納税は確定申告をする方がいいと説明しています。ワンストップ特例を使って6箇所以上に寄付をすると、確定申告をしないとすべて無効になりますので、注意してください。

ふるさと納税の受入件数と住民税の申告に差があるのはなぜ?

ふるさと納税の受入額を見てみると、自治体が受け入れた金額と、住民税のふるさと納税の集計値に大きな差があることがわかります。

まず、こちらがふるさと納税の受入額および受入件数です。

出典:ふるさと納税に関する現況調査結果(令和元年度実施)総務省

この表は、平成30年4月〜平成31年3月の集計値です。

合計額の欄には受入額が、約5,127億円と記載されています。

そして、こちらがふるさと納税による控除の適用状況です。

出典:ふるさと納税に関する現況調査結果(令和元年度実施)総務省

こちらの表は平成30年1月〜平成30年12月の集計値です。

この表の合計欄をみると、ふるさと納税の金額として、約4,576億円と記載されています。

2つの表についてまとめると・・

POINT

  • 上の表(受入額)・・約5,127億円(平成30年4月〜平成31年3月)
  • 下の表(控除額)・・約4,576億円(平成30年1月〜平成30年12月)
  • 差額・・551億円

2つの表は集計の期間に若干のズレがあることや、詳細な集計方法が示されていないので、確かなことは言えないのですが、2つの金額に大きな差があることがわかります。

自治体が受け入れたふるさと納税より、税金の控除として申告されているふるさと納税の方が少ないということは、ふるさと納税をしたのに、税金の控除を受けていない人がいる、ということだと思います。

このことについて、自治体にいる知り合いに聞いてみると、ふるさと納税の処理が遅くなっているのかもしれない・・つまり、事務処理が遅くなっていることで、集計されていないのではないか、ということです。

事務処理が遅くなっているだけならいいのですが、よくあるのが、ワンストップ特例をしていたけど、ふるさと納税が5つを超えてしまったケースです。

この場合、すべてのふるさと納税について確定申告しなければならないのですが、ワンストップ特例の分を除いて確定申告する人もいるようです。

確定申告はそれだけで所得税や住民税の申告が完結しますので、ワンストップ特例の資料は関係なくなってしまいます。十分に注意してください。

ふるさと納税の使い道について

ふるさと納税をするときに、その使い道をこちらで選べる場合があります。

意識していない人も多いと思いますが、ふるさと納税をする以上、寄付先の市町村では役にたつ事業に使って欲しいものです。

多くの自治体では、ふるさと納税がどのように使われたかを公表しています。

興味がある人は寄付した自治体のHPを見てみるといいでしょう。

ふるさと納税の募集に使った経費

けっこう衝撃的なのが、ふるさと納税のために使った経費です。

出典:ふるさと納税に関する現況調査結果(令和元年度実施)総務省

全体で見ると、ふるさと納税の55%が経費になるようです。

つまり、1万円のふるさと納税をしても、5,500円は寄付を集めるための経費として使われているということです。

表を見ると、返礼品の調達に35%程度を使っていて、これが一番大きい経費です。牛肉などを仕入れるための経費ということですね。

そのほかに20%は、ふるさと納税のポータルサイトなどに流れているものと推察できます。

ふるさと納税は、自分の住んでいる市町村に支払う税金を、他の市町村へ支払うというものですが、半分以上は民間の業者などへ流れているということですね。

その地域の活性化のために使われていればいいですが、一企業の利益になるのは、なんとなく腑に落ちない人もいるかもしれませんね。

住民税の控除額について

出典:ふるさと納税に関する現況調査結果(令和元年度実施)総務省

住民税の控除額は約3,265億円です。

この表を見ると、ふるさと納税額と控除額に差がありますが、1人あたり2000円は自己負担で税金から控除されない分、あとは確定申告をして所得税からも控除されている分ですね。

ただ、前述のとおり、ふるさと納税の受入額は5,127億円ですので、控除額がかなり少ないように思います。

受入額と控除額の多い自治体

最後に受入額と控除額の多い自治体を見ておきたいと思います。

受入額が多い自治体は以下のとおりです。

受入額の多い自治体

  1. 大阪府泉佐野市 約498億円
  2. 静岡県小山町  約251億円
  3. 和歌山県高野町 約196億円
  4. 佐賀県みやき町 約169億円
  5. 宮崎県都農町  約96億円

とてもつもない金額をふるさと納税で集めたことになります。

受入額の多い自治体の1位から4位までは、現在、ふるさと納税を受け入れる団体として指定されていません。多額のふるさと納税を集めるのに、適正でないところがあったと判断されたようです。

今後は4位までの自治体へ寄付しても、税金の控除を受けられませんので、注意してください。

こちらは、逆に市町村内の住民がふるさと納税をしたことによって、税収が減った自治体です。

税収が減った自治体

  1. 神奈川県横浜市 約137億円
  2. 愛知県名古屋市 約81億円
  3. 大阪府大阪市  約74億円
  4. 神奈川県川崎市 約56億円
  5. 東京都世田谷区 約53億円

大都市ほど、本来入るはずだった税金が、ふるさと納税によって減少しているのがわかりますね。

1年間の税収がこんなにも減少しているのです。

これほどの税収がなくなれば、住民サービスがなにかできなくなっていても仕方ないかもしれませんね。

100億円あれば、保育園がいくつか作れそうですね。

まとめ

今回は、総務省が公表しているふるさと納税の統計資料について、ポイントを解説してみました。

年々、とてつもない勢いでふるさと納税が広まっているのがわかります。

ふるさと納税をされる方は、住民税や所得税からちゃんと控除されていることを確認してくださいね。

【参考】ふるさと納税に関する現況調査結果(令和元年度実施)総務省