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ふるさと納税は返礼品が過熱したため、一定の規制が作られ法改正されました。
今回は、改正内容とともに、改正時期やふるさと納税はいつすればいいのかについて、FPがポイントを解説します。

ふるさと納税の制度が改正されました!

ふるさと納税の返礼品がヒートアップして、高額のものや地域と無関係のものが返礼品になったことから、制度が広まる一方で、制度の趣旨に反するとして、これまで総務省は自治体に対して注意喚起を発してきました。

これまでの総務省の注意喚起は、法的な拘束力のないもので、一定の自粛を求めるようなものでしたが、今回はついに法改正をしました。

つまり、その法律が施行されてしまえば、豪華な返礼品は大幅に減少することになると思われます。

改正内容とは?

今回の改正は、ふるさと納税(寄附金税額控除)を規定している地方税法の改正です。

大きく変更されたのは、市町村がふるさと納税を受けるためには、事前に総務大臣の指定が必要になったことです。

これまでは、すべての地方自治体が、ふるさと納税を受け入れることができましたが、今後は総務大臣の指定が必要ということです。

実はこれって、私たちにとっても重要なことなんです。

「指定を受けなければ、ふるさと納税の対象でなくなる。」

具体的にいうと、「寄付金税額控除の特例控除の対象でなくなる」ということです。

どういうことかというと、

ふるさと納税は、住民税の寄付金税額控除として控除されるのですが、計算上、「特例控除」というものがあり、この控除がすごく大きな金額になるため、ふるさと納税した金額のほとんどが還付や控除となるわけです。

「特例控除」がなくなるということは、仮にある市町村にパソコンの返礼品があるからといって、ふるさと納税をしても、その市町村が総務大臣の指定を受けていなければ、その寄付金については特例控除が受けられないので、寄付金のほとんどの金額が善意の寄付になってしまうのです。

仮に、指定されなかった市町村が「寄付をしてくれた人には、返礼品としてパソコンを送付します」と広報しても問題はないわけですが、ふるさと納税の仕組みが使えないので、寄付をしてもその分は税金から控除されません。

総務省のHPには以下の記述があります。

この改正は、6月1日以後に支出された寄附金について適用となりますので、指定対象外の団体に対して同日以後に支出された寄附金については、特例控除の対象外となりますのでご注意ください。
ふるさと納税ポータルサイト:総務省)

「間違えて寄付すると控除されないですよ」と総務省も言っているのです。

総務大臣の指定を受けた市町村を知る方法とは?

指定を受けた市町村や都道府県は総務省が告示することになっています。

報道もされるので、すぐに知ることができるでしょう。

ほとんどの市町村や都道府県は指定されると思いますので、指定されなかったところは大きく報道されると思います。しっかりと確認しておきましょう。

指定される条件とは?

では、どういった市町村が指定を受けられるのでしょうか。

今回の改正では、地方税法などの法令のほか、具体的な基準を記載した告示が制定されています。

【参考】総務省告示第百七十九号

これは法令から委任されたもので、法令と同様の効力を持っています。(当記事の中で「総務省告示第百七十九号」は、単に「告示」と記載します。)

市町村が総務大臣の指定を受けるためには、以下の条件をクリアする必要があります。

指定を受けるための条件

  1. ふるさと納税の募集を適正に実施すること
  2. 返礼品は返礼割合を3割以下にすること
  3. 返礼品は地場産品とすること

市町村は総務省に対して申請をして、この条件を受け入れる必要があります。

この内容は、ふるさと納税をする私たちにとっても、返礼品などが変更される元となる内容ですので、注意しておきたいところです。

一つずつ簡単に説明していきます。

1. ふるさと納税の募集を適正に実施すること

これまでは、ふるさと納税について多くの広告を目にしたと思います。テレビCMをはじめ、特にネット上では多くの場所に広告が出ていました。

募集を適正に行うとは、こういった広告についても規制が入ることになります。

このことについては、告示の第2条に規定があります。

総務省告示第179号
第2条第1号
地方団体による第一号寄附金(法第三十七条の二第一項第一号及び第三百十四条の七第一項第一号に掲げる寄附金をいう。以下同じ。)の募集として次に掲げる取組を行わないこと。
イ 特定の者に対して謝金その他の経済的利益の供与を行うことを約して、当該特定の者に第一号寄附金を支出する者(以下「寄附者」という。)を紹介させる方法その他の不当な方法による募集
ロ 法第三十七条の二第二項及び第三百十四条の七第二項に規定する返礼品等(以下「返礼品等
」という。)を強調した寄附者を誘引するための宣伝広告
ハ 寄附者による適切な寄附先の選択を阻害するような表現を用いた情報提供
ニ 当該地方団体の区域内に住所を有する者に対する返礼品等の提供
総務省告示第179号(総務省)

この内容によると、今後は返礼品を強調したパンフレットはもとより、広告自体もかなり制限されると考えられます。

告示とは別に総務省はQ&Aを作成しているのですが、そこには、「お得、コスパ最強、ドカ盛り、圧倒的なボリューム、おまけ付き、セール、買う、購入、還元」といった表現もNGとされていていますので、寄付する側が積極的に情報を取りに行って、ふるさと納税を行うことになると思われます。

ただし、ふるさとチョイス、ふるなび、さとふるといったポータルサイトが存在すること自体は問題ないようです。(サイトのあり方・内容は問われる可能性があります。)

2. 返礼品は返礼割合を3割以下にすること

過度な返礼品は控えるようにと、総務省は自治体に対して、再三注意を呼びかけてきましたが、その点が規制されます。

すでに3割以上の返礼品を提供している自治体はごく一部になりますが、今後は完全になくなると考えていいでしょう。

このことについては、地方税法に規定されています。

地方税法
第37条の2第1項第1号・第314条の7第2項第2号
都道府県等が個別の第一号寄附金の受領に伴い提供する返礼品等の調達に要する費用の額として総務
大臣が定めるところにより算定した額が、いずれも当該都道府県等が受領する当該第一号寄附金の額の
百分の三十に相当する金額以下であること。
改正後の地方税法抜粋(総務省)

ちなみに、この3割というのは、その自治体が返礼品を仕入れるために支払った金額ということになります。(仕入原価だけでなく、広告費や人件費なども含まれます。)

したがって、実際の販売価格とは異なります。

3. 返礼品は地場産品とすること

このことについても、上記の3割規制とともに総務省が自治体に対して注意してきたことです。

この内容についても地方税法に明記されました。

地方税法
第37条の2第2項第2号・第314条の7第2項第2号
都道府県等が提供する返礼品等が当該都道府県等の区域内において生産された物品又は提供される役務その他これらに類するものであつて、総務大臣が定める基準に適合するものであること。
改正後の地方税法抜粋(総務省)

地場産品とは何かということについては、告示およびQ&Aに具体的な内容が記載されています。

告示には多くの内容は少し読みづらいので、主なものを少しわかりやすく以下に記載します。(以下、A市のふるさと納税を例にして記載します。)

地場産品とは?(A市を例に主なもの)

  1. A市で生産されたもの
  2. A市で原材料の主な部分を生産しているもの
  3. A市で製造、加工の主要部分を行い、そのことで付加価値が生じているもの
  4. A市のキャラクターグッズ、オリジナルグッズ
  5. A市に関連のあるサービス

総務省のQ&Aをもとに簡単に説明したいと思います。

1. A市で生産されたもの

これはいうまでもなく、その地域で生産されたものということですので、農産物や畜産物が良い例です。

これまでは、自分の市町村で生産していなくても、返礼品にしていたところがありましたが、そういったことはなくなるので、生産している地域のものは価値が高くなるかもしれません。

2. A市で原材料の主な部分を生産しているもの

例えば、ジュースの原材料となる果物を栽培しているとか、アイスクリームの原料となる牛乳を生産している場合に、ジュースやアイスクリームを返礼品にすることができます。

Q&Aの例では、原材料の9割以上を生産しているならOKで、1割だとダメなような記載がありました。

ビールの原材料となるホップを作っている地域だと、多くのビールが返礼品になるかもしれません。

3. A市で製造、加工の主要部分を行い、そのことで付加価値が生じているもの

原材料でなく、加工した製品の方に価値があれば、それが返礼品にできるということです。

A市の事業者が自社製品として販売しているものが対象となります。

例えば、他の地域のお米を原料として作ったお酒、伝統工芸品などが該当します。

和菓子やケーキ、地ビールなども該当すると考えられます。

ただし、複数の地域で作っていて、全国展開しているようなものは該当しないようです。

4. A市のキャラクターグッズ、オリジナルグッズ

ゆるキャラグッズや、その地域のスポーツチームのグッズなどが該当します。

5. A市に関連のあるサービス

A市へ旅行するための旅行券、A市の特産品を扱うアンテナショップ(他の区域にあってもよい)などが該当します。

ただし、A市のブランド牛を扱う東京のレストランでの食事券やグルメポイントはダメです。

また、姉妹都市や友好都市のものは、地場産品とは認められないことになりました。

そのほか、A市の特産品に合わせてパソコンや家電などを返礼品とすることもNGです。メインとなるものが地場産品であることが必要です。

【参考】ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&Aについて(総務省)

改正内容に関する課題

これまでは返礼品に規制がなく、自治体はほぼ自由に返礼品を出していましたが、今回はしっかりとした基準が設けられました。

このことで、返礼品合戦が終わって、適正な水準かつ地場産品が返礼品となりますので、家電欲しさにどこでもいいから、ふるさと納税をするといった人が少なくなると考えられます。

また、返礼品が純粋に地場産品になることで、自分の好きなブランド牛をしっかりと育成してほしいといった応援の気持ちを込めて、返礼品にブランド牛をもらいながら、ふるさと納税をすることができます。

一方で、これまでは基準がないために、ふるさと納税の趣旨から静観していた都心の市町村が、ふるさと納税に参入することも考えられます。

都心へ旅行する人も多く、旅行券などの需要は多いと考えられますし、都心で成功していて有名になったお菓子や商品も多いと思います。

都心で成功している商品は商品力が強く、もともとPRもしているので、全国的に知られていて、需要も高く、有利だと思います。

こういったことで、地方へ流れていたふるさと納税の資金が都心へも向かう可能性があります。

東京都は申請せず

ふるさと納税が指定制度になったわけですが、東京都は指定を受けるための申請をしませんでした。

東京都からは、ふるさと納税制度によって億単位の税収が減少していたため、制度自体に反対していたこともあり、その意思表示とも受け取れますが、一定の制限が設けられたことから、これ以上に税収が減少しないと考えたのかもしれません。

東京都が本気でふるさと納税に取り組めば、地方都市は太刀打ちできないでしょうし、大人の対応と言えるかもしれません。

高額の家電や商品券、クーポンは今後はどうなる?

細かい規制ができましたが、これまで人気だった家電や商品券のような旅行券やアマゾンクーポン、モンベルのバウチャーなどはなくなってしまうのでしょうか。

具体的なことは、2019年6月以降にならないとわかりませんが、現時点で予想してみたいと思います。

家電やアップル製品など

返礼品は地場産品ということですが、家電などでもその土地を拠点にした生産物は家電でも返礼品になり得ると思います。

ただし、支店がいくつもあるような企業の製品だと、条件から外れると考えられます。

そういった点から、まずメイドインジャパンは最低条件だと思いますし、日本製であっても大手企業の製品だと、工場が複数の地域にあるため、難しいように思います。

家電とは少し違うかもしれませんが、バーミキュラを作っている愛知ドビーのように地元に根付いた叩き上げのような企業の製品など、ふるさと納税に馴染むような気がします。

当然、アップル製品はNGですし、地元の特産物との抱き合わせも規制されています。

家電については、ほとんどが対象外になると考えられます。

商品券やクーポン

換金性の高いクーポン、バウチャーですが、これまで人気の高かったものは、日本旅行の旅行券やモンベルもバウチャーなどです。

旅行券自体は認められていますが、汎用性が高く使い道が限定されていないもの、金券に近いものは、返礼品にはならないと考えられます。

宿泊する旅館などが決まっていれば返礼品になりますので、どこかへ出かけることを前提に、旅行券を目当てにふるさと納税することはできると思います。

モンベル製品やバウチャーについては、家電と同様にその地域で限定して作っているものなどでないと、難しいと思いますので、こちらはなくなると思います。

商品券も、ほとんどがなくなると考えられます。

欲しい返礼品は5月までに!

今回の改正は2019年6月からですので、それより前であれば法令の効力は及びません。

したがって、自治体によっては5月まで少し緩めで返礼品を出しているかもしれません。

ただし、6月以降は総務大臣の指定がなければ、ふるさと納税を受けることができなくなってしまいますので、自治体は指定を受けるために早めに対処するのが普通です。

ですので、5月末ごろには、高額返礼品はほとんどなくなっていると思います。

現時点で家電などが返礼品になっている場合は、早急にふるさと納税をしておいた方がいいでしょう。

5月中であれば、後からふるさと納税の対象ではない、などと言われる心配はありません。

家電やグルメポイントはふるなびで多く扱っていますので、確認してみてください。

2019年6月以降はいったん控えた方が良い

6月以降になると、ふるさと納税の指定を受けられなかった市町村が出てくる可能性があります。

ふるさと納税のポータルサイトが対応していればいいのですが、対応できていなくて、指定されていない市町村にふるさと納税をしてしまった場合は、その金額の一部は税金から控除されなくなります。

6月以降は様子見で、10月あたりから再開すると安全です。

ブラックリストに入っていた市町村は要注意!

これまで総務省が警告したにも関わらず、それを無視して返礼品を送付していた市町村は、総務省が公表してきました。

最も最近の調査で公表されているものは、2018年12月27日に公表したものです。

返礼割合が3割を超える返礼品を送付 52団体
地場産品以外の返礼品を送付 100団体

具体的な市町村については以下の資料を確認してください。

【参考】ふるさと納税に係る返礼品の送付状況について(平成30年12月27日公表)総務省

今回、総務大臣から指定を受けるために提出する書類には、平成30年11月1日以降のふるさと納税の受け入れ状況を記載するものもあります。

この書類が指定にどの程度影響するのかわかりませんが、判断材料の一つになるので、現時点で高額のものや地場産品以外のものを返礼品にしている市町村は指定から外れるかもしれません。

まとめ

ふるさと納税制度がついに法改正されてしまいました。

これまで、お買い物のように返礼品を選ぶことができたわけですが、今後は制度の趣旨にそった内容となり、返礼品も限られます。

とはいえ、地域の特産物、ブランド牛や果物、海産物は地場産品として残ります。

個人的にも、おいしいものを作っている地域には頑張ってもらいたいので、ふるさと納税を続けるつもりです。

なお、繰り返しになりますが、2019年6月以降は制度が変更になりますので、ふるさと納税した金額が税金から控除されないといったことのないよう、注意してくださいね。