保険の見直し、行っていますか?

独身から世帯主となった時や、家族が増えた時。

自分にもしものことがあったら、と家族のために生命保険に加入する人は多いですよね。

しかし、最初に入った生命保険を、今もそのままずっと掛けているという人は要注意。

本来、生命保険はライフサイクルに合わせて、その都度見直しをする必要があります。

※生命保険には、死亡以外に病気や怪我、介護などのリスクに備える医療保険や介護保険等を含めた保険全般を指す場合もありますが、ここでは生命保険=死亡保険として話を進めていきます。

子どもの成長によって必要な生命保険は変わる

生命保険に加入する一番のメリットは、自分に万が一のことがあった時に家族が経済的に困窮してしまうのを防ぐことにあります。

そのため、子どもが小さいほど保障は手厚いに越したことがないですし、子どもが成長し独立してしまえば同額の保障は必要ないと言えます。

実際に、生命保険文化センターの調査によると、子どもにお金がかかる30~50代の世帯主の生命保険金額が3,000万円ほどなのに対し、定年を迎える60代後半から70代になると1,700~1,200万円ほどまで下がっています。

若い時に掛けてから保険の見直しをしていないとなると、本来はそこまで必要のない保障に対し高い保険料を払ってしまう可能性があります。

主契約と特約

保険には、主契約と特約があります。

主契約はその名の通りメインとなる契約なのに対し、特約はあくまでもオプションとなるため、特約のみの契約はできません。

一般的には、生命保険(死亡保険)を主契約とし、病気や怪我などの医療保障は特約で補うことが多いですが、この契約では生命保険の保障期間が終わって主契約が切れると、特約も同時に切れてしまいます。

もし、あなたの保険が、生命保険が主契約の定期型(一定の期間のみの保障で、期間が終わると契約が終了)であれば、高齢になるに従い必要となる医療保障が失われてしまう可能性があります。

そのような事態を避けるためには、主契約である生命保険を終身にするか、医療保障は生命保険の特約で付けるのではなく、主契約として別に契約する必要があると言えます。

保険商品は年々変化

現在加入している保険に特に不満などなくても、見直しをする必要があるのだろうか?と疑問を感じる方もいらっしゃるかも知れません。

しかし、生命保険商品は世の中に合わせて刻一刻と変化しています。

例えば、喫煙者は非喫煙者に比べてガンなどの病気を発症するリスクが高いことから、逆にリスクの低い非喫煙者に対して保険料を優遇する保険会社が増えています。

また、メタボリックシンドロームの診断基準となるBMIが適正範囲内である、特定の疾患の既往症がないなど、健康な人は優良体割引が受けられる場合もあります。

このように、保障内容は同じであっても、条件によって保険料が安くなる商品がどんどん開発されています。

見直しをしなければ、これらの新商品も知ることなく、高い保険料を払い続けることになってしまいます。

団体契約の生命保険に注意

会社に勤めていると、生命保険の団体契約を勧められることがあります。

団体契約には、保険料が割引される、給料天引きになるので失効(払い忘れによって契約の効力がなくなること)することがないなどのメリットがありますが、一方で定年退職してしまうと保険の契約が終了してしまうため、新たに個人で保険に入り直さなければいけなくなります。

なお、団体契約には団体契約と団体扱いの2種類があり、契約者が会社である団体契約に対し、団体扱いはあくまでも契約者は本人であり、支払いを会社が取りまとめてくれるイメージです。

そのため、定年退職後も引き続き保険を続けることができます。

ただし、保険料の支払いが給料天引きのままになっていると、口座にお金がなくなってしまうと失効してしまうので気をつけましょう。

定年後は医療と介護を手厚くするべき

60代になると、子どもは独立してしまっているケースが多いので、多額の生命保険は必要ないと言えるでしょう。

お葬式代を貯蓄で賄うと言うのであれば、生命保険自体が必要ないかも知れません。

しかし、病気や怪我のリスクは年齢が高くなるほど増します。

また、医療だけではなく、老後には介護の問題も大きくなってきますよね。

そのため、この2つの保障については、定年後は手厚く準備しておくべきと言えるでしょう。

三大疾病に備える

三大疾病とは、癌(悪性新生物)、心疾患(急性心筋梗塞)、脳卒中のことを指します。

これらは日本人の死亡原因のワースト3となっており、特に高齢になるにつれその罹患率が増えていきます。

中でも癌は80才以上の2人に1人が掛かると言われているため、入院や治療に対する備えが必要と言えます。

そのため、保険会社では癌や三大疾病に特化した保険商品を展開しています。

希望に合わせて選択するのがよいでしょう。

公的保障制度だけでは不安がある

病気や怪我などで入院や手術をし、1ヶ月で100万円かかったとします。

国民健康保険を支払っていれば(自己負担が3割だとして)、支払う医療費は30万円になりますが、実はこれ以外にも日本には高額療養制度という公的保障制度があります。

高額療養費制度とは、年齢や年収に応じて自己負担額を減らすことができるもの。

例えば、70才未満で年収が370~770万円の人の場合、1ヶ月の上限金額は80,100円 + (医療費-267,000円)×1%と決まっています。

医療費の部分に実際に掛かった100万円をあてはめてみると、算出される金額は87,430円となり、これが自己負担となります。

随分安くなったと感じたでしょうか?

しかし、仮に3ヶ月入院したとしたら262,290円。

貯蓄を崩せば支払えない金額ではないものの、老後、年金だけで生活をしていると不安になってしまう金額ではないでしょうか。

しかも入院が一度で済むとは限りませんから、何度も入退院を繰り返せばその分自己負担額は増えてしまいます。

また、介護においても公的介護保険を利用すれば、自己負担は1~2割に抑えられますが、それにも上限があり、上限を超えた分についてはすべて自己負担になります。

その場合でも超過した分は高額介護サービス費支給制度を利用して、いくらか払い戻すことができますが、先出の生命保険文化センターの調査では、1ヶ月の介護費用の平均は79,200円となっています。

決して安い金額とは言えません。

そのため、安心して介護サービスを受けたいのであれば、民間の介護保険に加入しておくのがよいでしょう。

保険切り替えのタイミング

定年後、加入している保険が年齢や生活に見合っていないと感じた時、主契約の生命保険が終身の場合であれば保険を解約しなくても、死亡保障金額を減額や介護特約などを新たに付帯するなど、自分合った保障内容に変更することができます。

しかし、定期の場合は保障期間に限りがあるため、老後を安心して過ごすためには、契約期間の長い保険か終身に切り替える必要があります。

保険料は、加入の年齢によって違い、年齢が高いほど保険料も高くなってしまいます。

そのため、定年後に保険が満了を迎えるとしても、定年を待たずに1才でも年齢が若いうちに保険を切り替えていく方が保険料を安く抑えることができます。

また、新たに別の保険に加入する場合も年齢が高いと保険料も高額になるため、まずは現在加入している保険の内容を見直し、将来を見据えて自分に本当に必要なものを選んで行く必要があります。

養老保険で資産形成を兼ねることは可能?

養老保険は、貯蓄性の高い生命保険になります。

死亡時(ないし高度障害)、もしくは満期時に保険金(支払い総額+利息)を受け取ることができます。

しかし、実際に支払い金額に上乗せする形で利息が受け取れるのは、バブル期までに契約した養老保険と言われています。

現在は貯蓄部分の運用利回りがかなり低いため、積み立てのつもりで養老保険に加入しても元本割れする可能性もあると言われており、貯蓄性は低いと言わざるを得ません。

それでも、自分でコツコツと貯めるのに向かないという人や、死亡保障が付いた商品が欲しいという人であれば養老保険を貯蓄として利用するのも一つの方法と言えるでしょう。

なお、貯蓄型生命保険には養老保険の他に、低解約返戻金型終身保険や個人年金保険などが販売されていますのでここでご紹介しておきます。

低解約返戻金型終身(定期)保険

加入後一定期間内に解約をすると、返戻金が極端に少ないのが特徴です。

しかし、その分貯蓄型の保険にしては毎月の保険料が抑えられていることや、払い込み終了後では支払った以上の返戻金が受け取れる可能性があります。

個人年金保険

個人年金保険には、確定年金と終身年金があり、確定年金は例えば「60才で退職後、年金の支払いが開始となる65才までの繋ぎの5年間に年金を受け取りたい」などの要望にお応えする保険です。

一方の終身年金は、「公的年金の支払いが開始される65才から、上乗せとして年金を受け取りたいと言った要望に沿うことができます。
なお、終身年金では契約者が死亡するまで年金が支払われますが、確定年金に比べて保険料がかなり高くなります。

まとめ

退職後の生活について考えると、保険の存在はとても重要です。

年齢によって必要となる保険は変わりますし、特に退職前後では収入も変化しますので、見直しの良い機会です。

今後の生活を踏まえて、保険の内容を確認してみましょう。