ふるさと納税で牛肉をもらったわ!これってすごくお得よね。自己負担2,000円でいろいろなものがもらえるなんて。
ぼくはパソコンをもらったよ。うれしいなぁ!
ふるさと納税するのはいいけど、手続きはしっかりとしているかな?ワンストップ特例という便利な制度があるけど、気をつけていないと、ふるさと納税分が控除されないことになるんだよ!
えっ!
えっ!
そんな不安な人のために、今日はふるさと納税のワンストップ特例のリスクと確定申告について説明するね。
ワンストップ特例の制度を本当にわかっていますか?
たくさんふるさと納税をして、ワンストップ特例の申請書も出した!という人。
安心していないで、もう一度ワンストップ特例の制度を確認しておきましょう。
実は、ワンストップ特例の申請書を出したのに、税金から控除されなかった人がいるんです。
簡単にふるさと納税ができるようにと整備された「ワンストップ特例」ですが、わかりづらい部分もあります。ここでは、まず、わかりやすくワンストップ特例制度のポイントを解説します。
ワンストップ特例制度のポイント
ワンストップ特例は、確定申告をせずに税金からふるさと納税分を控除してくれる制度ですが、いがいにも複雑な制度なんです。
それは条件があるからです。
- ふるさと納税をするたびにワンストップ特例の申請書を送付しなければならない。
- ふるさと納税を6つ以上の自治体にしたら無効
- 引っ越ししたら、翌年の1月10日までに、ふるさと納税をした自治体へ新しい住所を通知しなければならない。
- 確定申告したらワンストップ特例はすべて無効になる。
それぞれを簡単に説明していきます。
1. ふるさと納税をするたびにワンストップ特例の申請書を送付しなければならない。
これが結構煩わしいのですが、とにかくふるさと納税をするたびに申請書を送付するのです。
なぜ、申請書を送付するのかというと、この申請書の情報は、最終的にあなたが住んでいる市町村へ送られるからです。
そして、この内容に基づいて、あなたの住民税が計算される(住民税からふるさと納税分が控除される)というわけです。
申請書には必要事項を記載するとともに、以下の2点を確認してチェックをつけます。
- 確定申告をしないこと
- 5つの自治体までしかふるさと納税をしないこと
こちらが、ワンストップ特例の申請書です。
「ちゃんと申請書を送っておけば安心でしょ!」と思わず、内容を理解しておきましょう。
そして、ふるさと納税をした市町村から送られてくる「寄付金の受領書」は必ず保管しておくようにします。
2. ふるさと納税を6つ以上の自治体にしたら無効
ワンストップ特例では、ふるさと納税は5つの市町村までならOKです。1つの市町村に複数のふるさと納税をしても1つにカウントされます。
しかし、6つ目の自治体にふるさと納税をしたら、それまでのワンストップ特例の分も含めて確定申告しなければなりません。
つまり、それまでの申請書は無効です。
仮に、6つ目の自治体にワンストップ特例の申請書を送ったとしたらどうなるでしょう。
ちゃんと受理されます。なぜなら、受け取った自治体はあなたがいくつの自治体にふるさと納税を行ったか知りませんので、「6つ目ですよ」とは教えてくれません。
ワンストップ特例の申請書には、ふるさと納税は5つまでということを確認してチェックをつけましたよね。
つまり、その要件を満たさないので、申請していないことになります。
役所から「申請していないですよ」とか「6つ以上の市町村にふるさと納税をしていますよ」などといった連絡はありません。このようにして、無効になってしまうのです。
3. 引っ越ししたら、翌年の1月10日までに、ふるさと納税をした自治体へ新しい住所を通知しなければならない。
前述のとおり、申請書の情報は最終的にはあなたの住む市町村へ送られます。
住民税は、ふるさと納税をした翌年の1月1日に住んでいる市町村で課税されますので、1月1日に住んでいる市町村が、あなたのふるさと納税の情報を知る必要があるのです。
例えば、X市に住んでいるときにA市にふるさと納税をします。その年のうちにY市に引っ越したとします。
この場合、あなたの申請書の情報はA市からX市へ送られますが、X市からはY市へ伝わりません。
そうすると、住民税を課税するY市はあなたがふるさと納税をしたことを知りませんので、住民税からふるさと納税の分を引くことができないのです。
引っ越しだけでなく、結婚で苗字が変わった人も変更届出書の提出が必要になります。
しかも、1月10日までに連絡しなければなりません。そうでないと、ワンストップ特例は無効となってしまいます。
4. 確定申告したら無効になる。
ワンストップ特例の申請書の中で、「確定申告をしないこと」を約束したわけですから、確定申告をした場合にもワンストップ特例は無効になってしまいます。
例えば、病気で入院して医療費が多くなったので、急遽、医療費控除を申告するという人もいるでしょう。この場合は、医療費控除とともに、ふるさと納税についても確定申告書に書かなければいけません。
「ワンストップ特例の申請書を送った・送らない」に係わらず、確定申告をする場合には、すべてのふるさと納税分を記載する必要があります。
ふるさと納税は税金を払う人の名前でしないとダメ!
さらに注意しなくてはならない点があります。
例えば、夫が会社員で奥さんが専業主婦の場合、夫の名義でふるさと納税をしなければいけません。
奥さんの名義でふるさと納税をした場合、ふるさと納税の受領書は奥さんの名前になり、ワンストップ特例の申請書も奥さんの名前になってしまいます。
住民税を課税する市町村では、ワンストップ特例の申請書の名前などの情報を見て、事務処理をしていきます。
- 住民税を課税する人が夫
- ワンストップ特例の申請書の名前がその奥さん
この場合、夫の住民税から奥さん名義のふるさと納税を差し引くことはできません。
夫婦関係だと分かったとしても、役所では勝手に夫の税金からふるさと納税の分を控除するわけにはいかないのです。つまり、ふるさと納税分は処理されないことになってしまいます。
この間違えはかなり多いと言われます。ふるさと納税をするときには必ず注意してください。
ワンストップ特例が危険な理由
ワンストップ特例が面倒な制度だということが分かっていただけたと思います。さらに、そのリスクを説明します。
突然ですが、これまでにワンストップ特例制度でふるさと納税をした人に質問です。
「ふるさと納税分が住民税から控除されていることを確認しましたか?」
おそらく、きちんと確認したという人は少ないのではないでしょうか。
ワンストップ特例制度のリスクはここにあります。
- ふるさと納税に関する申告や手続きの状況がまったくわからない。
- 税金から控除されているか分からない。(わかりづらい)
この2点について簡単に説明します。
1. ふるさと納税に関する申告状況がまったくわからない。
ワンストップ特例制度は便利ですが、手続きがブラックボックスになってしまい、こちらに見えてこないのです。
もちろん、ふるさと納税をした先の自治体へ申告書を送ったという証拠は、手元に受領書があるのでわかると思いますが、それが適正に処理されたかどうかまでは知る術がありません。
前述のように、引っ越しをしたのに、変更の申請書を出さなかった場合、ふるさと納税の手続きはされないのですが、そういった状況を知ることはできません。
しかも、ふるさと納税は年々増加していて、自治体の職員が一件のミスもなく事務処理できるとは思えません。
2. 税金から控除されているか分からない。(わかりづらい)
ふるさと納税が税金から控除されているか、それは結果を見ればわかるのでは?と思うかもしれませんね。
実はこれも難しいのです。
ふるさと納税でワンストップ特例制度を利用した場合、その分は(所得税の分も含めて)住民税から控除されます。
控除は、ふるさと納税をした翌年の住民税からなので、「還付される(お金が振り込まれる)」のではなく、「住民税が少なくなる」ことで還元されます。
では、住民税がいくら少なくなっているのか。
それは通知書を見ればわかるのですが、給与所得者の場合、以下のような通知書になります。
ふるさと納税分は「税額控除額」の欄に記載されます。
ここには、ふるさと納税分の他に住宅ローン控除など他の控除額が合計されているため、ふるさと納税分がいくらになるか分かりづらいのです。(税額控除額には必ず「調整控除」というものが含まれているため、ふるさと納税分だけが記載されることはありません。)
親切な市町村だと、備考欄に「寄付金税額控除適用」とか「寄付金税額控除・・・円」(ふるさと納税の控除を正しくは「寄付金税額控除」といいます。)と書いてくれていますが、ふるさと納税を行った先の市町村の明細(A市に・・円、B市に・・円・・・)までは記載してくれません。
結局、税金がどのくらい安くなったか、きちんと把握することは難しいのです。
確定申告をすれば間違えない!
ここまで、ワンストップ特例の難しさについて記載してきました。
それでは、どうすればいいのか。それは「確定申告をすること」です。
確定申告は難しい・・と考える人も多いでしょう。
しかし、そんなに難しい制度ではありません。
一生涯、確定申告をしないという人はほとんどいないと思いますので、今後のためにも覚えておくことは悪くないと思います。
確定申告した方がいい理由
確定申告の利点としては、次の点があります。
- ふるさと納税分をすべて自分で申告するため、申告漏れがない。
- 所得税は国税庁のHPで自動計算されるため、所得税の還付額がその場でわかる。
- 住民税の計算には確定申告書が最優先で使われるため、住民税の算定にもふるさと納税分が漏れなく行われる。
一つずつ簡単に説明していきます。
ふるさと納税分をすべて自分で申告するため、申告漏れがない。
ワンストップ特例の申請書を送っていた場合でも、確定申告する場合はすべてのふるさと納税の分を確定申告書に記載する必要があります。
なぜかというと、確定申告書というのは「所得税を確定」させるものだからです。
そこにすべて内容が網羅されている必要があります。
自分自身で記載するわけですから、自分がミスしない限りは確実にふるさと納税分が反映されることになります。
所得税の計算は国税庁のHPでできるため、所得税の還付額がその場でわかる。
確定申告は国税庁のHPから行うことができます。
マイナンバーカードを持っている人であれば、国税庁のHPからe-taxを利用することができますので、その場で確定申告が完了します。e-taxの手続きは初回は少し面倒なのですが、毎年する人にはとても便利です。
マイナンバーカードを持っていない人でも、HPの指示通りに必要書類を用意して記入していけば、所得税を自動で計算してくれますので、還付額などがすぐにわかります。
この場合は確定申告書が画面で完成しますので、印刷したものを税務署へ提出します。(郵送でOKです。)
また、ふるさと納税の申告であれば、スマホからもできるようになりました。
税務署に行って申告するという方法もありますが、確定申告の時期はとてつもなく混雑します。
税務署では税務署の職員が申告の方法を教えてくれますので、時間がある人にはいいかもしれません。時間がない人はパソコンで済ませてしまうのが正解です。
住民税の計算には確定申告書が最優先で使われるため、住民税の算定も漏れなく行われる。
確定申告書は所得税を確定させるもので、すべての情報が網羅されていると説明しましたが、この確定申告書は住民税の計算でも使われています。
市町村は確定申告のデータを国からもらって、それに基づいて住民税を課税するのです。
確定申告書の内容は何よりも優先されますので、住民税でもきちんと計算されるというわけです。
確定申告の方法
確定申告の方法についても簡単に説明します。
給与所得者以外の人は確定申告の経験があると思いますので、給与所得者がふるさと納税の確定申告をするという前提で説明します。
まずは、次のものを手元に用意してください。
- 源泉徴収票
- ふるさと納税の寄付金の受領書
この2つだけあれば問題ありません。あとは、国税庁のHPの指示通りに入力していくだけです。
手書きの場合は次の点に注意しましょう。寄付金の受領書については原本を確定申告書に添付します。欄に書ききれないときは「・・・ほか」と書いておけば問題ありません。
このようにすべてが入力されていれば、問題ありません。
確定申告までできる「ふるさと納税のサイト」もあります。
ふるさと納税をする際には、ふるさとチョイス、さとふる、ふるなびなど、様々なサイトから行っていると思います。
中でも「さとふる」は、ふるさと納税の確定申告が作れるサービスがあります。
「さとふる」だけで、ふるさと納税をした人であれば、簡単に確定申告書が作成できるようですので、参考にしてください。
本当にふるさと納税が控除されているかの確認方法
確定申告をすればまず問題はありませんが、どうしても心配な人は住民税の通知書が届いてから、その内容について市町村へ問い合わせてみましょう。
ただし6月の前半は非常に市町村の電話もパンクするほど混み合いますので、6月後半から7月前半くらいがいいかもしれません。
まとめ
便利なワンストップ特例制度ですが、気をつけなければいけない点が多くあることが分かったと思います。
ふるさと納税をしたときには確定申告の必要がなかったとしても、急な転勤や医療費控除、6つ以上の市町村へふるさと納税してしまったなどで、途中から確定申告が必要になることもあるでしょう。
それなら、最初から確定申告をすると決めた方が間違いないと思います。
ワンストップ特例や確定申告についてわかったかな?
ワンストップ特例では申請書を送るから、その時点で安心しきってしまうわね。その後に引っ越しをした場合、変更申請書を送らないといけないのね。引っ越しにはいろいろな手続きがあるので、その時に思い出すのは難しいかもしれないわね。
その点、確定申告をすれば安心だね。難しそうだと思っていたけど結構簡単にできるんだね。マイナンバーがあるからさらに便利になったし。
うん。確定申告をしておけば心配ないね。毎年ふるさと納税をするなら、確定申告も毎年するように習慣にしてしまうといいね。