今回はパッシブ運用とアクティブ運用について説明していきます。
運用は堅実なものと、強気なものをうまく組み合わせることが大切です。パッシブとアクティブはその前提となる2つの運用の概念となります。
運用の基本は4つの用語の理解から
節税効果が高いと聞いたので、とりあえずiDeCoを始めることにしたけれど、商品を選ぶのが大変で用語も難しい。そのように感じる方は多いのではないでしょうか。
用語を覚えるよりも、儲かるファンドを教えて欲しいという人もいますが、大切な将来の資金ですので、他人任せにせず自分でもきちんと理解して進めたいものです。
今回説明する基本用語は4つです。
- パッシブ運用
- アクティブ運用
- ベンチマーク
- インデックス
まずは、これらの用語をしっかりと理解しましょう。
ベンチマークを基準として運用する
パッシブ運用、アクティブ運用とは、どちらも株式運用の基本的なスタイルで、どちらもベンチマークを基準に考えます。
ベンチマークとは運用の指標としている基準をいいます。日本株に投資する場合であれば、東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価などの株価指数がこれに当たります。
大雑把に言うと、ベンチマークはその市場(例えば日本株市場)の平均値と考えるとイメージしやすいでしょう。
このベンチマークに対してどのような結果を求めるのかによって、「パッシブ運用」と「アクティブ運用」が異なってきます。
パッシブ運用とは?
パッシブ運用は運用目標とされるベンチマーク(基準)に連動する運用成果を目指すスタイルです。
株式や投資信託の運用成績は、このベンチマークと比較して考えるのが一般的です。
例えば、日経平均株価が1年間で10%上がっていた場合に、ある投資信託では5%の運用益だったとすると、機械的に日経平均に連動する商品を買っておく方が良かったということになります。
人が介在して運用した結果、10%の運用益が5%になってしまったのですから、成績は悪いということになってしまいます。
このように指標とする基準を下回った場合には「ベンチマークを下回った」というような表現をします。
では、パッシブ運用のスタイルである「ベンチマークに連動するパフォーマンスを目指す」場合、どのような運用となるのでしょうか。
パッシブ運用のメリット・デメリット
パッシブ運用ではそれぞれの商品や市場の動きを示す指数(インデックス)に連動した運用となるため、運用担当者であるファンドマネージャーが銘柄選定等を行わず、機械的に銘柄が選定される仕組みとなっています。
したがって、コストが安くなるというのが大きなメリットです。
また、市場の平均値を示すことが多いことからも分かるように、保有銘柄が分散されるため、リスクが少なくなります。
一方、機械的であるがゆえに融通が効きにくいというデメリットもあります。
インデックスに組み入れられる銘柄は大企業であり、かつ株価の高い銘柄が多いこともデメリットの要因となることがあります。
例えば、株価指数として組み入れられている株価の高い銘柄が、なんらかの原因で急落したりした場合、インデックスに占める株価の割合が大きいため、たった一つの銘柄の騰落でもインデックスへの影響が大きくなってしまいます。
このような場合でも、ファンドマネージャーに銘柄変更権がないため、インデックスの銘柄変更が行われない限り、それに連動している投資信託における成績も下がるという結果になります。
アクティブ運用とは?
アクティブ運用とは目安となるベンチマークを上回る運用成果を目指すスタイルです。
運用に精通したファンドマネージャーが市場の調査分析を行い、銘柄選定を行うため、銘柄選定について自由度の高い運用となります。
アクティブ運用のメリット・デメリット
メリットとしては、まずなにより、アクティブ運用がインデックスを上回ることを目指していることからも分かりますが、指数を上回る運用益を得る可能性があるということです。
その他には、パッシブ運用のデメリットであった、インデックスファンドの中の特定銘柄の急落等についても、個別に銘柄変更等の対応ができます。従って急激な相場変動にも損失をできるだけ抑えるような組み換えが可能です。
一方、デメリットとしては、ファンドマネージャーの銘柄選定による調査等の手数料がかかり、コストが高くなる傾向にあるということです。
また、パッシブ運用よりも価格変動が大きく、リスクが大きくなることも考慮が必要です。
銘柄選定が機械的でない分、ファンドマネージャーの能力に大きく左右されてしまうことも運用成績への影響となるでしょう。
流行りのスタイルはパッシブ運用?
iDeCo等の投資信託ではコスト面も考慮してパッシブ運用の投資信託が好まれる傾向にあります。
アクティブ運用は価格変動が大きい傾向にあることから、インデックスの上にも下にも大きく変動する可能性があります。
将来性のある市場や商品があり、その銘柄の投資信託等が損失を出した際のリスクを許容できる場合は、アクティブ運用の投資信託も選択肢の一つかと思います。
パッシブ運用はアクティブ運用よりも利益が少ないとは限らない
アクティブ運用がベンチマークより上回る成果を目指すからといって、アクティブ運用の方がパッシブ運用よりもベンチマークを上回る確率が高いかというと、実際の運用結果はそうとも言い切れません。
運用初心者の場合は特にリスク等も勘案し、コストも低いパッシブ運用を選択する傾向にあります。
投資信託の種類は様々
パッシブ運用はベンチマークに連動する運用成果を目指すといっても、ベンチマークとなるインデックスは様々です。
ベンチマークとなる商品の種類によって、リスクの違いが発生します。
運用商品となるファンドは大きくは公社債投資信託と株式投資信託とに分かれますが、一口に株式の投資信託といっても、先進国、新興国等、投資対象の国によってもリスクは異なります。
株式だけで構成された投資信託だけではなく、公社債と株を組合せたもの等、種類は豊富です。
年代や資産状況等に合わせたそれぞれの運用方針も異なりますので、どの運用商品がご自身のスタイルに合っているのか確認しましょう。
タイプや年代ごとのオススメの運用スタイルなど
年代だけで運用スタイルが決まるというわけではありませんが、ある程度の指標はあります。その辺を簡単に説明していきます。
50代なら安定運用を目指す公社債投資信託がオススメ
公社債投資信託は、国債や地方債、社債等で構成され、株式を含まない投資信託で安定運用スタイルとなります。元本損失をできるだけ回避したい方の運用スタイルです。
バランス運用を目指す40代なら、組合せ型のファンドがオススメ
iDeCoでは運用益が非課税なので、その利点を活かしてある程度利益が欲しいという方は、公社債と株式等を組み合わせたバランス型ファンドがオススメです。
株式だけでなく債券でも外国債等は一定のリスクもありますので、ある程度リスクに対応できる方の運用スタイルです。
やるからには高い運用益という方には積極運用の株式ファンド等がオススメ
投資信託の中には国内株、外国株の先進国株、新興国株、また、不動産投資信託や、商品先物市場で取引されている商品を扱ったコモディティファンド等もありますし、それらをアクティブ運用で行っている投資信託もあります。
長期保有できる30代の方や、ご自身で投資信託の内容について研究し、ある一定の時期には資金が半額になっても大丈夫、といったリスク許容度が高い方には積極運用型の投資信託もオススメです。
iDeCoは運用資産の一部
ここまでパッシブ運用、アクティブ運用そしてご自身に合った投資信託の選択についてご説明してまいりましたが、iDeCoでの運用はあくまでもご自身の運用資産の一部です。
運用のバランスを考える際には、iDeCoの中だけでなく、預貯金、不動産等を含めた資産全体でのバランスを図って行いましょう。